着地点が見えない「かながわ廃棄物処理事業団経営改善検討委員会」その2

第5回財)かながわ廃棄物処理事業団(KHJ)経営改善検討委員会の議論のポイントを報告します。委員会では、医療廃棄物の搬入量の確保や一般廃棄物の受入れを進めることを中心に事務局への質問が続きました。

県内で発生する医療系廃棄物11,800tの約7割の8,153tが県内処理されていますが、KHJの処理量は669tに過ぎません。理由の一つは、事業団も認める通り、価格の問題です。また、収集運搬部門を持っていない事業団が契約を取る事は困難との報告は過去の委員会でも述べられています。(第2回委員会)
私も昨前、感染性医療廃棄物の処理費について調査を行ないましたが、以下のように運搬費をのぞいても処理費の違いは歴然としています。それどころか、医療系廃棄物の更なる受入のためには、施設整備も必要とのこと。その費用については、どのように考えているのでしょうか。

  横浜市立市民病院委託業者:A社 45,500円/t
  横浜市立みなと赤十字病院委託業者:B社 85,000円/t
  かながわ廃棄物処理事業団(KHJ) 11,500円/t

川崎市の一般廃棄物処理の許可も出されていない中、一般廃棄物の受け入れを進めるべきとし、二宮町や鎌倉市、平塚市からのニーズが見込まれ、さらに、他自治体でも焼却施設の老朽化が予想されるとし、産業廃棄物と一般廃棄物の統合処理、広域処理の提案も出されるなど、現行法を飛び越えるような議論が続きました。さらに、驚いた事に、現在、一般廃棄物として処理されている福祉施設などから出される紙おむつを産業廃棄物という整理をしてもらえば、KHJへの搬入が期待できるという論。これに対して、「現在、問題なく処分出来ているものを産業廃棄物にしたときに、料金は誰が負担し、収集運搬はどのような体制でやるのか」との横浜市の職員の発言(第2回委員会)は的を得たものです。

過去にもこのようなやり取りがあったにもかかわらず、本日の委員会の最後に、KHJが、医療系廃棄物の収集運搬部門を持っていない事を聞いた委員から驚きとともに税金が投入された事業としての責任を問う声が上がりました。これには、私も呆れました。経営改善計画はあくまでも計画だからと明言する県職員の認識も問われるべきですが、具体の行動計画も皆無、現実的でない「こうだったらいいのにな」の議論を半年近く繰り返している経営改善検討委員会こそが税金の無駄遣いです。