移動サービスのこれから

NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク主催の移動サービス学習会に参加しました。
地域のニーズから生まれた福祉有償運送・ボランティア送迎などが道路運送法に位置付けられて2年が経過しました。神奈川県内には、先駆的に移動サービスを提供するNPOの存在があり、法制度の整備を牽引してきました。しかし、道路運送法の改正前後で県内の福祉有償運送の状況を比較してみると、法人数は178から169と9減、車両数も1597台から1558台とマイナス39台となっています。登録制度に移行したことで、制約が増え手続きも煩雑になり、新規に事業を開始する法人数が伸び悩み、事業から撤退する法人も出てきているそうです。

福祉有償運送は、その必要性について運営協議会で検討し、合意を得る事が必要ですが、地域の実情を踏まえた検討が十分になされていない状況も指摘されています。学習会では、横浜市緑区の区独自予算で取り組む知的障がい児送迎サービスや、麻生養護学校で始まったNPOによる通学支援事業、NPO法人野の花ネットワークが提供する無償運送サービスなど地域の実践が報告されました。

地域のニーズに押されて広がった移動サービスには、様々な事業者とそれぞれのポリシーがあり、サービスの特性や料金設定も異なります。それを利用者が選択できることが重要です。

県内の移動サービスの需要は高く、要支援・要介護者、身体障害者手帳交付者数は、07年度末で約56万人で総人口の約6%に達しています。今後も、全国を上回るスピードで高齢化が進み、2025年には人口の26%が65歳以上となり、移動制約者も急速に増加することが予想されています。

横浜市では、「将来にわたるあんしん施策」の中で、市の独自財源を活用した総合的な移動支援施策体系の検討が始まっています。現在行なわれている移動支援について、当事者や地域の事業者の参加も得て実態に則して見直す作業が行なわれます。ぜひ、細やかな施策は、国を頼るのではなく自治体が提供するという姿勢を貫いてほしいと思います。