定額給付金給付事業は自治事務?

横浜市でも、国の2次補正に対応し、「定額給付金」事業についての補正予算案が示されました。支給対象者は369万人、事業費579億8400万円、うち30億8400万円が給付に伴う事務費とされていますが、第2次補正予算の財源を確保する特例法案は、参議院を通過していません。
自民党内には、「法案が成立しないと支給できないというが、そういう法制上の縛りはない=いつでも付与できる」という伊吹元財務相のような考えもあるようですが、中川財務大臣は、予算措置がされていないので「執行を見守っている状況だ」と発言しています。一方で、中川財務大臣は、1月の衆院予算委員会で「定額給付金にかかわる事務を自治体に行わせる根拠となる法律は必要ないのか?」(民主党:仙谷議員)と問われた際には、「成立した予算は法律と同じ効果がある」(?)とも答弁。
政府は、地方財政法16条を根拠に、定額給付金に関する事務については、全額を国が補助する事業とし、すでに、1月28日には総務省から支給要綱が市区町村に通知されています。横浜市でも、30億円の事務費について、国が負担することを前提に予算案に計上しています。
予算委員会では、地方財政法には、「地方公共団体の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する」(9条)ことや、国が、その経費を負担することができるのは、「地方公共団体が法令に基づいて実施しなければならない事務」に限定されている(10条)ことも指摘されています。それを受けての中川大臣の答弁だったわけですが、そもそも、定額給付金に関する事務を自治事務とすること自体を問わなければならないと思います。
地方自治法には、「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。」(245条)と明記されています。ところが、定額給付金の給付に関して自治体の裁量権はなく、あの橋下大阪府知事の独自活用提案も門前払いされたよう。
99年「地域振興券交付事業費補助金」が執行された際、多くの自治体が自治省の補助金交付要綱に従って交付する中、横浜市は条例を制定し交付を行ないましたが、今回の給付については対象者も限定せず用途も自由であることを理由に要綱により給付を行うとしています。
官僚主導、中央主導を象徴する定額給付金給付事業。あらためて、政局に翻弄されることなく、自治と分権の視点で問題提起していきます。