もっと充実させたい「学習支援員制度&介助員制度』

港区にある特別支援教育「個別支援室」を訪ね、ディスクレシア(読み書きに困難さがある症状)を中心としたLD(学習障害)のサポートを行なっているNPO法人エッジの藤堂栄子さんのお話を伺いました。個別支援教室は、港区の教育委員会の委託事業です。06年度からエッジがこの事業を受託し、区内の公立小中学校へ学習支援員を紹介するほか、相談、情報提供業務などを行なっています。

エッジの研修を受け、ライセンスを取得した支援員が200人。現在は、区内29校のうち27校に60人が派遣されています。支援員のフォローアップ研修や、当事者、家族、学校などとの連携により的確なサポートを行なう事を目指しています。港区のローカルライセンスとして支援員の立場を明確にした意義は大きく、ケース検討や個別支援計画の作成にもその力が活かされています。

2004年に発達障害者支援法が施行され、障害手帳の有無ではなくニーズがあれば支援しなければならない事が明文化されました。07年からは、障がいのある子どもたちの教育が「特殊教育」から「特別支援教育」に転換され、軽度発達障害児への支援がすすめられています。今年度は、360億円の地方交付税が特別支援教育支援員の配置のために措置されています。(1校当り120万円全国/3万校公立小中学校)しかし、この交付税が本来目的にそって使われていない現状も明らかになっています。サポートが必要なこどもたちがいながら予算が活かされていないのです。

今回の視察のきっかけは、神奈川県内自治体の「介助員制度」の実態調査でした。港区も学習支援員制度に比べ、介助員制度は課題が多いようですし、報酬で比較しても、学習支援員が時間当り1500円であるのに対して、介助員は900円とのことでした。しかし、いずれも必要な制度です。(横浜市は500円)
地域には、当事者性や専門性を活かした障害児・者をサポートする活動があるはずです。福祉や子ども施策とも連携し、実践を活かした仕組みを提案していきたいと思います。