放課後の居場所3事業を検証

決算審査より

横浜市では、放課後の子どもの居場所事業として、放課後学童クラブ、はまっ子ふれあいスクール、放課後キッズクラブの3つの施策が展開されています。
07年度の実施状況は以下の通り。

 学童クラブ   はまっ子   キッズクラブ  キッズ17時〜
施設数   175   301    48  
登録児童数  6,111人  78,942人  13,372人  758人
1か所当り運営費 660万円 674万円 1200万円
その他整備費 234,249千円

キッズクラブは、他の2事業に比べ、多くの運営コストがかかっています。5時までの全児童対策に加え、5時以降の預かりも行なうことになっていますが、参加率の低さも課題です。
この部分については、放課後学童クラブと同様に、児童福祉法に基づく、厚生労働省の放課後児童育成支援事業となっており、原則として保護者が週3日以上就労していることや健康上等の理由などにより、保育に欠ける1年生から3年生を対象児童としています。
担当局によると、17時以降における、キッズクラブの1施設当たりの登録人数は15人(07年実績)で、登録人数10人以上という要件を満たせず国庫補助の対象とならなかった施設が9施設あったそうで、残りの施設は、国庫補助条件をクリアしたということとしています。
しかし、国庫補助の条件「保護者の就労情況」について、学童クラブについては、区に書類を提出しチェックをしていますが、キッズクラブについては書類の提出は求めていないません。
要綱の要件は学童クラブと同じはずですし、市が、就労情況を記入するキッズクラブ参加申し込み書の雛形までつくった意味は何なのでしょうか。
キッズクラブに関して、07年度実施分として執行された厚生労働省からの国庫補助金は額は1億1000万円余。これだけの補助金をノーチェックで国に申請したようです。
この事について、担当課に何度も確認しましたが、就労状況については、監査を行い確認しているとのことで問題ないとのことでした。しかし、監査を行なったのは、9施設に過ぎないことも質疑の中で明らかになりました。
キッズクラブは全児童対策事業で、学童クラブに対して行なうように細部にわたるチェックを入れることは難しいのだそうです。だとすれば、このような施策を展開すること自体無理があります。保育に欠ける要件をゆるめて、就労にこだわらない横浜市独自の基準をつくるなど、事業のあり方そのものも含め検討すべきではないでしょうか。すでに、08年度、キッズクラブに酷似したはっま子充実型という第四の施策も展開されています。コスト面から言えば、これで十分だし、長時間に渡って子どもが学校にいる事自体、生活世界を狭めるように思えてなりません。「地域」に多様な居場所を展開する発想が必要ではないでしょうか。