事業として成り立たない「特定高齢者施策」

「地域支援事業」のうち特定高齢者に対する介護予防事業への参加率は、61.4%(06年度)から7.7%(07年度)へ大幅に低下しています。07年度は06年度に比べて、より多くの特定高齢者が把握されたにもかかわらず、その特定高齢者がプログラムに参加しないのです。
地域支援事業について、2007年度の事業実績と第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画との計画比も一桁台の数字が並んでいます。

 主な事業と計画比
転倒骨折予防事業 2.8%
高齢者のフットケア推進事業 6.2%
口腔ケア・栄養改善事業 6.1%
認知症予防事業 4.3%
訪問型介護予防事業 2.3%
高齢者食事サービス事業 64.9%

06年度は区毎に数ヵ所ある包括支援センターで行なわれた介護予防事業への参加は1会場当り数名にとどまり、07年は、区に1〜2カ所で開催へと方針を転換しましたが、結果として、生活圏内から離れ、また、交通が不便であるなどの理由からさらに参加率が下がったと思われます。

事業の運営は「はつらつプログラム」「脳力向上プラグラム」として、民間に委託し実施されていますが、委託内容や契約金額にばらつきがあります。事業者を募集しても、なかなか手が挙がらず、入札を重ねるたびに、委託条件のハードルを下げざるを得なかったという実情があります。
●07年「はつらつプログラム」運営委託契約状況(基本型のみ送迎あり)

基本型 B型 C型
契約金額/最低金額 735.000円 566,399円 630.000円
契約金額/最高金額 2.208.622円 997.500円 840.000円

特定高齢者を把握するのは、地域包括センターの責任で事業者の責任ではありません。参加者も区に1カ所あるいは2カ所の会場をほとんど選択できません。これでは、入札を行なっても、事業者にとっても、参加する方にとっても不公平なプログラムになっているのではないでしょうか
しかも、参加率は下がり続けているということで、ほとんど、事業として成り立たっていないと思います
この事業について分析を行なった厚労省の見解が今年5月にだ出されていますが、
「統計学的に有意な介護予防効果は認められなかった」と、厚生労働省自らが分析しています。また、総務省が行なった行政評価・監視結果でも、介護予防サービスの利用率は低い、特定高齢者の予防介護への参加率も低い、この事業の費用対効果を早期に明らかにし、事業のあり方を検討すべきと指摘しています。 
私も、貴重な財源をつぎこんで、このような事業を継続する必要はないと思います。