介護は社会の仕事

14日付けの神奈川新聞に、高齢者福祉の現状を映し出す、2つのデータが並んでいました。

「全国最短の4.7年」何の数字かお判りでしょうか?これは、県内で働いている介護労働者の平均経験年数で、全国平均の5.9年よりも1〜2年短くなっているそう。((財)介護労働安定センター調査による)介護の仕事を選んだ理由は、働きがいのある仕事だから→54.7%、人や社会に役立ちたいから→41.6%と志の高さが表れています。しかし、平均月収は17万2580円で、年収300万円未満の人が66.6%を占めています。(平均年齢42.9歳)これでは、思いがあっても、生活の安定を考えると介護という仕事を継続的な仕事として選択できない現実も想像できます。

「高齢者虐待628件」
こんな数字も報道されました。
県の発表によると、07年度の家庭内の高齢者虐待は628件で前年に比べ152件も増加したとのこと。要介護施設内での虐待が、前年の6人増の17人である事に比べ、家庭内の虐待は大きく増加しており、家族介護の限界も垣間見えます。

介護労働力の不足に加え、介護保険改訂後の給付抑制により、制度はあってもサービスなしといった状況に近づきつつあるのではないでしょうか。さらに、今後、介護保険制度も後期高齢者医療制度のように、国が主導する広域連合の運営に転換し給付抑制をすすめるという施策も見え隠れしています。
一方で、厚労省が考え出した特定高齢者施策のようなニーズと不一致な事業に、首をひねりつつ貴重な財源をつぎ込み取り組んでいるという理不尽な現状もあります。

今こそ、保険者である自治体が、介護の社会化を後退させることなく自治力を発揮する時です。国の政省令に振り回されることなく、「ムダなサービスはムダなコストを生むだけだ」と率先して声をあげてほしい。現場の声に耳を傾け必要な制度を共につくろう。