うまく利用した人だけが得するしくみ

病院整備資金 融資制度

5月に横浜市病院協会の補助金不正受給問題が発覚し、継続的な調査が行なわれています。
25日の常任委員会で、(1)ホームページ更新事業などの補助事業の不正受給額は計569万9207円であること、(2)病院整備資金:調査対象89件中32件の調査を終えた時点で、不適切な融資が6病院11件(計3億8400万円の融資)であり、今後も調査を継続するとの報告がありました。11件のうち7件は、これまでも問題指摘されていた2つの病院(新横浜母と子の病院、日吉病院)で占められていますし、調査対象の89件のうちの24件は、上記2病院。2病院の院長は、つい先日まで、協会理事という立場にあって整備資金の審査も行なっていたわけで、公的(病院協会)、私的(自分の病院)の双方で不正を働いていたことになり、この問題は深刻です。
でも、融資状況について調査を始めた当初の当局の姿勢は、正直に言えば、問題の本質に正面から向き合うという意思が感じ取れませんでした。整備資金の不適切な融資が明らかになった新横浜コート308号に関する融資の償還状況について尋ねた際には、「平成20年3月31日現在、上記物件に関する融資の償還は完了しておりません。」というあっさりとした解答をいただくのに、かなりの時間を要しました。一連の経過を考えると、なぜ、 不適切に「病院整備資金」制度が利用されてきたのか、その構造的な問題が見えてくるように思います。
当初、融資の償還状況については、「個人情報の観点から、融資先の同意がなければ金融機関は情報を出せない」とされていました。しかし、横浜市の預託金の管理上、横浜市が把握すべき事案ですし、毎年、4月に行う医師信用組合などへの預託金の計算のために、個別融資案件ごとに年度末の融資残高表が、横浜市に来ていたのではないでしょうか。そういった情報が議会や市民に公表できないようであるならば、予算や決算の審査もできません。うまく利用した人だけが得をするしくみということになってしまします。
当局は、先日の委員会で、新横浜コート308号室に無利子融資を行なったことで発生した逸失利益を民事法定利率「年五分」で試算すると、25.255,554円になると報告しています。他にも不適切な無利子融資が明らかになっており、それらの逸失利益も尋ねましたが、試算していないとの事。怒りはないのだろうか。