横浜市病院協会の補助金不正受給問題の調査の過程で、横浜市が行う「医療機整備資金貸付事業」についても、目的外使用などの実態が明らかになりつつあります。この事業は、市内の医療機能整備・促進のために、医療機関に対して低利・無利子で行う資金融資で、市は、横浜市病院協会に、一部の事務を委任して実施してきました。問題となっているのは、制度創設以来、整備資金の融資を決める「融資審査会」の委員であり、病院協会の理事でもあった新横浜母と子の病院理事長が、93年に医師宿舎として無利子融資を受けた物件(マンションの一室)です。この物件の売主は当該病院の関連会社であり、現在に至るまで所有権移転登記が行われていないこと、さらに、領収書に記された氏名から売買の当事者が同一人物であることも判明しています。2004年ごろからは、「神奈川健康福祉経営協同組合」の事務所として転用されたため、目的外使用も指摘され、残金については繰り上げ償還されていますが、繰り上げ償還を認めるだけでなく、転用・転貸していた期間の不当な利得は、横浜市に返済させるべきと考えます。
日吉病院についても、2002年以降に融資を受けた4件(うち無利子融資3件)は、工事完了届けや領収書、現況写真など融資内容を証明するものは未提出のままで、1億1185万円の融資が行われています。この病院の院長も、融資審査会の委員でもあり病院協会副会長であります。両院の院長は、神奈川健康福祉経営協同組合の理事でもあります。
問題の融資が行われた当時、融資審査会には病院協会理事をはじめ、金融機関代表、横浜市担当部長もメンバーとして参加しており、横浜市の責任も問われるところです。仮に、横浜市がこのような実体を、相当程度知りながら、監査も、調査もしなかったということであれば、横浜市の責任は重く、早急に調査し公表することが求められます。
いずれにしても、利害関係者が、いくつものポジションを兼務する構造が不透明なお金の流れをつくり出しています。横浜市の公金や救急医療センター事業の一部(研修室改修工事など)、病院協会会員の会費の一部が、神奈川県健康福祉経営協同組合に流れていることは明らかになっており、利益額がいくらなのか、利益は何に使われたのか、を確認する必要があります