中田市長が横浜市長選挙の公約のひとつに掲げられた首長の「多選禁止条例」。現在、全国各地の自治体でも多選禁止あるいは自粛の条例化が進められています。
公職選挙法との関係から、明確に多選を「禁止」することは難しいという判断もありますが、「自粛」という形の被選挙権の制限が、条例に馴染むものなのかも疑問です。
松沢知事は、昨年12月議会で、「自粛」=自発的に行動をつつしみひかえること。という意味合いからか、知事ご本人一代限りの「知事の任期3期まで」とした多選自粛条例を提案されました。しかし、在任1期目の松沢知事が、自らの4期目を想定し、それを制限する条例は、各会派からの大きな反発を受け、否決されました。 中田市長は、行政の硬直化や権限の集中などの多選の弊害をあげられ、権限を時間的に分権する必要性を訴えられています。確かに在職期間の長期化は、独善的な人事や行政運営、様々な癒着を生み出します。また、多選が重ねられることで、往々にしてオール与党体制ができあがってしまうことは否定できません。
2002年、中田市長は、「組織や政党の推薦は求めない。声なき声を信じて戦う」と横浜市長選挙に立候補されました。中田市長のおっしゃった通りで、本来、市長の任期などは、選挙を通して市民の判断に委ねれば良い事であり、条例に規定する必要などないと思います。そうして誕生した市長は、初当選後、「組織決定を自発的な市民の思いが上回った」と話され、応援された議員も「地方議会の総与党体制を終わらせることにつながる」というコメントも目にしました。
しかし、中田市長が、2期目にして早くもオール与党体制に近い環境で迎えた選挙では、圧倒的な現職の優位性も経験されたはずです。その経験から、現職に制約を課すべきと考えられたとしたら、中田市長は自己規制的公正さを持ち合わせた方だと思います。
私は、多選自粛の趣旨には賛同しますが、条例でなくとも、市長ご本人が高らかに「○期を超える在職はしない」と宣言されることで十分そのお気持ちは伝わると確信します。