暗黙の了解では済まされない「国勢調査」

総務省では、「国勢調査の実施に関する有識者懇談会議」が始まりました。昨年実施された調査への理解・協力が得られなかったという課題を踏まえ議論されるそうです。 しかし、現在、見直しをすすめているメンバーは、東京都の職員、民間リサーチ会社と学者。本来は、もっと現場に近い人々、市民生活をわかる立場から制度を検証することが必要です。
前回の会議では、杉並区と埼玉県熊谷市の調査員2名の方へのヒアリングも行なわれています。横浜市と同様に、調査が非常に困難だったという杉並区の調査員と、そうでもなかったという熊谷市の調査員の意見は対照的だったそうです。やはり、全国画一的な調査は限界だというですね。
いずれにしても、総務省は、調査の意義、有用性、特に、全数調査の必要性、さらには、必須の調査項目とはいったい何なのかなどを明確に示すべきです。会議の中でも、『国勢調査が重要だという「暗黙の了解」は通用しなくなった』と述べられています。その他、すでに、同様の調査の中止を決定せざるを得なかった海外事例として、ドイツやスゥエーデンの事例も報告されています。
また、住民基本台帳の活用の是非も議論の遡上に上っているそうです。言われているような、国勢調査と住民基本台帳の人口の違いはどの程度なのか?資料によると、全国平均で、0.45%住民基本台帳の人口が多いようです。基準人口として利用できないというほどの差異ではないようにも思えます。
NETも参加した総務省との円卓会議でも、現在行われている調査について、本当に、国勢調査でなければならないのかが検証されずに調査が継続されてきたことや、この問題について、真剣に議論されてこなかったがなかったことが明らかになりました。
これまでも、自治体からは、調査についての課題が提起されてきましたが、その声は無視され調査は続けられてきました。
今回の有識者懇談会議では、7月までに、今後の調査のあり方について、一定の方向性が示される予定だそうですが、目が離せません。