靖国問題、歴史教科書問題、領土問題、そして、日本平和憲法改正の動きに対して、アジアの人々はとてもセンスティブです。
法政大学江橋教授は、全体講演の中で、日本における現在の憲法議論について報告されましたが、平和、自立、人権の財産となるような憲法を目ざし、アジアの市民社会に向けたひらかれた憲法議論の必要性を提起されました。実際、日本では、軍国化へ向かうような急進的な改憲論は終息し、社会の必要に応じて、新たな価値をもたせるという議論に移行しています。
江橋教授は、70年代以降、市民がつくってきた運動から生まれた、人権、ジェンダー、科学技術と人間,あるいは、地域の自治、地方分権といった課題も、憲法議論の遡上にのせていくことが重要である、また、日本の憲法問題は、東アジア市民社会の「共通な正当な関心事」でありアジアの市民社会からの提案も大歓迎、「石をぶつける前に」意見を言い合おうと結ばれました。
相互理解、相互批判といった議論を通じ、政治的な共同体をつくる。市民社会だからこそなし得る事です。