核軍縮・核不拡散に向けて

市民ができることは何か

ピースデポの中村桂子さんから、核をめぐる国際情勢についてお話をうかがいました。
被爆60周年にあたる今年、「核不拡散条約(NPT)再検討会議」が開催されます。NPTは1970年に発効され189ケ国が加盟する軍縮義務を定めた唯一の条約です。2000年には、核不拡散を前進させ核軍縮そして完全廃棄を達成するという明確な約束が交わされました。しかし、2002年アメリカの核体制の見直し、拡大路線を受け、ロシア、中国でも軍備増強の動きが見られ、NPT体制は崩壊の危機を迎えています。 これに対して、平和市長会議、NGO,市民が連携し「核兵器廃絶のための緊急行動」=2020ビジョンが始動し、5月には、ニューヨークで100万人デモが計画されているそうです。
2000年の合意を後押ししたのも、国際世論であり、市民・NGOであったわけで、市民の平和力に帰結します。日本は、2000年の誓約を支持しながらも、唯一の被爆国としての発言力を行使しできずにいます。まず、「知る」こと。中村さんは、「私たちが、世界に広がる運動につながり日本国内の世論形成をしていくためにも、インテリジェンスとしての情報が必要、互いに活用しあえない政府や市民との関係性に日本のNGOの課題があり、私たちは、まだまだ、チャンネルの限られたインフォメーションとしての情報の中にいる」と言います。
また、「感性」と「理性」が求められているというお話もありました。被爆国の市民メッセージの影響力は決して小さくないのですが、情緒的な側面だけで訴えるのではなく、対案として軍事力によらない安全保障の道筋を示すといったことも求められています。
ピースデポからは、具体的に、北東アジアに非核地帯をつくることが提案されていますが、先にふれた平和市長会議の加盟都市を見ても、韓国や北朝鮮の都市名は無く、日本も広島、長崎の2都市のみが加盟しているといった厳しい現状があります。
まず、市民社会の中で「インテリジェンス」を豊かにし、お互いを見通せる関係をつくる努力を始めたいと思います。