小規模保育の現場からも言わせてください!「保育の質」問題について
30日、大阪ドーンセンターで開催された全国小規模保育協議会主催の交流集会に参加し、各地の小規模保育事業(0~2歳児を対象とした認可保育)の取り組みや課題について共有しました。
子ども・子育て支援新制度がスタートして1年、2016年4月1日現在、小規模保育事業の認可件数は全国で2,429件となり、前年同日時点の認可件数の1,655件の1,47倍になりました。小規模保育事業の課題として言われているのは3歳の壁。3歳以降の預け先の確保について後押しをする自治体は少なく、国では小規模保育事業の対象年齢を拡大することも検討されています。こうした動きについて、面積基準をも緩和するといった誤解もあり「保育の質の低下」を指摘する意見も聞かれます。「園庭がない=保育の質が低い』というような指摘もあります。
しかし、面積基準で言えば、横浜市において2013年以前に開所した認可保育所の面積基準は「0・1歳児1人につき2.475㎡以上」。小規模保育が「0・1歳児1人につき3.3㎡以上」とされているのに対して、多くの認可保育所がより緩和された基準で子どもを受け入れている実態があります。
保育者の人員配置についても、小規模保育は認可保育所の基準人数プラス1人を配置とされており手厚い配置ができます。
園庭問題については、交流会の中でも、駐車場を活用して庭として最大限に活用した事例や、毎日お散歩に出かけている事例を聞きました。
りとるピッピ(小規模保育)の子どもたちも毎日お散歩しています。時には連携園のピッピ保育園の子どもたちと公園で待ち合わせ、2歳児も3歳〜5歳児に混じって外遊びを楽しんでいます。
保育士は、お出かけ先の公園などの安全もチェックします。「地域の子どもたちが安全に遊ぶためにも役立つこと、望ましいこと」といった現場の気づきも報告されました。
子どもや家庭のニーズを受け止め、小規模保育をベースに、障害児保育や産前・産後ヘルパー事業、一時預かりと多様なサービスを展開している状況も報告されました。さらには、内閣府が進める企業主導型保育についても、市町村の認可を必要とせず比較的柔軟な運営が可能であることから、多くの事業者から新たな施策への期待も聞かれました。
このように保育施策の多様化が進む中、一般に論じられている「保育の質」の概念は曖昧です。まずは小規模保育の現場に携わるなかで感じている子ども・保護者との「関わりの質」や保育士の働きやすさやなど「環境の質」も含めて、現場の実践からエビデンスを重ね可視化していく必要性を確認しました。
認可保育所も小規模保育施設もそれぞれが持っている優れた機能があるはず。保育の質問題とともに、「保育所に入れない」という問題をスピーディに解決するためにも、私は、引き続き小規模保育の現場から声を上げていきたいと思っています。