柔軟剤などの「香り」が与える影響について その1

  先日、「近隣の洗濯物から発散する香料の物質が常に家の中に入ってきてしまう、窓を閉めていても隙間から入ってきて目や鼻の粘膜がヒリヒリしたり、吐き気、頭痛がして逃げ場がなくて大変つらい」というご相談を頂きました。
 スーパーやドラッグストアーには実にたくさんの種類の柔軟剤が並んでいます。業界団体の調査では、柔軟剤の利用者の4人に1人までが、定められた量の2倍以上を使っているという結果もあるそうです。(NHK報道2013年9月20日)

 独立行政法人国民生活センター「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」( 2013年9月)によると、芳香性を工夫した商品の品ぞろえが広がっており、国内の製造者の柔軟仕上げ剤の販売量は 2008 年の 24.8 万トンから 2012 年の 26.0 万トンへ、販売金額は 2008 年の618 億円から 2012 年の 715 億円へとなっており、いずれも増加傾向にあるとの事です。
  柔軟剤に含まれる香料により、体調不良を感じお困りの方も増えており、国民生活センターも体調不良につながる事例も紹介されています。同センターは、消費者に対して、「自分がにおいに敏感な場合は、商品を選択する際に、商品の表示等に記載された芳香の強さ等を参考にしましょう」「自分にとっては快適なにおいでも、他人は不快に感じることもあるということを認識して おきましょう」といったアドバイスを行い、 業界・輸入事業者への要望に対しても「 においが与える周囲への影響について配慮を促す取り組みを行うよう要望します」としています。

 神奈川県は、 2012年に「柔軟剤のにおいの強さの比較調査」を実施しています。調査を受け、「においの種類や強さの感じ方には個人差があるため、使用量は目安に基づいて使用すること。同じにおいを快く感じる方、不快に感じる方がいることから、使用に際しては、過度にならないよう注意することも必要と思われる。」といった消費者への注意事項も出されています。
 柔軟剤の使用を法的に規制する根拠はない状況ではありますが、すでに公共施設やHP上で、柔軟剤等の香料自粛のお願いを掲示する自治体も増えてきました。困っている人がいるという事や、化学物質過敏症はいつ、誰でも発症する可能性があり他人事ではないということを伝えていくことが対策の第一歩だと思います。
今後、自治体の取組み状況も確認しながら、働きかけを行っていきたいと思います。