子どもの権利に関する条例の具体化を目指して〜ピッピ総会&記念講演会〜
23日、NPO法人ピッピ親子サポートネット第11回定期総会と、西野博之さん(特定非営利活動法人フリースペースたまりば理事長)をお迎えした記念講演会が開催されました。
ピッピ親子サポートネットは、子ども・障がい者・高齢者支援など11の事業を運営し、昨年は法人設立10年の節目の年を迎えました。2013年には「大場町みんなのいえ」も開所、認知症の家族支援や、多世代交流の場を生かした子育て支援や若者の社会参加、就労支援への取り組みを模索しています。おそらく、法人にとっての次の10年は、こうした取り組みが重要になってくると思います。
西野博之さんの講演では、「川崎市子どもの権利に関する条例」の具体化を目指してオープンした川崎市子ども夢パークや、不登校やひきこもり、障がい児・者と様々な背景を持った人、幅広い年代層のための居場所「フリースペースえん」の取り組みを伺いました。生きづらさを抱えた人々のどこを支え、どんな街を作るのかという問題に向き合うときに、西野さんのお話に多くの示唆がありました。
不登校の子どもは、7万5千人(小・中・高)、ひきこもりは70万人 、引きもり親和群は155万人にのぼります。また、小中高校などでの.いじめ認知件数約18万6千件(うち小学生11万8800件)、そして、20代、30代の死因のトップは自殺となっています。西野さんは、長年の活動の中で、多くの困難を抱えた子ども、社会的擁護の必要な子どもに出会い、現場の支援者として、富裕層と貧困層の二極化が進んでいるという実感も持たれています。
西野さんは、支援という言葉は使わず、「自分の責任で自由に遊ぶ快・不快を手に入れる人間関係育む」というモットーを掲げ、一緒に生きるためにどういうスキルや環境が必要かを考え活動されてきたそうです。そして、何よりも「安心して失敗できる」環境を用意することの重要性を話されました。
ここへ来て、国会では議員立法で夜間中学も含めフリースクールや家庭など学校以外で学ぶ選択肢を認める法制度をつくるという動きも出てきおり注目されるところです。
西野さんが、最後に紹介されたのは、昨年ドイツで子ども権利条例と川崎市子ども夢パークについて報告された際、最も関心と共感が寄せられた、子どもの権利条例報告市民集会で条例制定にかかわった子ども委員からおとなへあてたメッセージでした。
全ての人の人権が尊重され、子どもも大人も「ありのままの自分」でいられるコミュニティづくりへの思いや、社会的ミッションに取り組む意義を多くのメンバーとともに確認することが出来ました。現場から思い新たに活動を進めます。