北海道栗山町の議会基本条例制定を契機に確実に議会に変化の波が起こり、先進事例に学び競うように議会基本条例の制定が進みました。廣瀬克哉さんの報告では、全自治体の1割で議会基本条例が制定され、議会報告会を開催する議会も年々倍増し、何らかの形で市民との対話の場を持つ議会も2割に達しているそうです。
しかし、今や、内発的な議会改革の波を超える大きな波が押し寄せています。発信力のある首長からは、議会内閣制や議員定数・報酬半減提案など刺激的な提案が次々と出され、首長応援政党も結成されるなど議会にとって厳しい状況が続いています。
大森彌さんの基調講演でも、首長からの過激な挑戦を受けて立つ議会の覚悟を問われました。見方を変えれば、議会を招集せず先決処分を繰り返すというような想定外の首長が現れれた時こそが、招集権を始めとする議会の権限および、議会事務局の強化にむけた見直しのチャンスだということです。もうひとつの代表機関の議会がある二元代表制の地方政治の仕組みを考えれば、首長マニフェストも「絶対」ではありません。
「変えよう地方議会」の連載で注目される河北新報(宮城県)丹野綾子記者もパネリストとして参加されました。丹野記者は、先行議会の条例を真似るコピー条例に象徴されるような住民不在の自己満足にとどまる改革の実態も含め、旧態依然の議会の状況を報道されています。取材を通じ住民の議会を見る目の厳しさも捉えられています。しかし、その立ち位置は「議会不要論には与しない」というもの。議員の質を高め、信頼できる議員よって構成される議会への転換に期待がにじむ報告でした。
多くのパネラーから、議会が世論の後ろ盾を得る必要性が語られました。大森彌さんからは、「憲法と地方自治方があるから存在できるのか、市民の支持を得て存在できるのか」という問いかけもありました。廣瀬克哉さんからも、議会で議決する事で市民にどのようなメリットがあるのか、政策の水準が向上するのかを示すことが求められているとの提起がありました。
私も、日々の活動から、政治と生活をつなぎ共に経験する活動こそが政治への信頼を高め参加を拡げることであることに気付かされます。会場に集まった議員一人ひとりが、どれだけ住民とつながり活動しているのか、その活動が問われました。住民と議員が共同で取り組む、調査活動や立法活動を実践する重要性を確認できました。