新法の施行に伴い、横浜市は、「横浜市こども若者支援協議会」を設置し、教育、福祉・医療、雇用などの関係機関や団体が連携し、包括的な支援の仕組みづくりを進める事を目指します。しかし、この法律を使いこなせる知恵は、地域社会中にこそあり、こども若者支援協議会が、どこまで踏み込んだ議論ができるのか、これからが正念場です。
30日のこども青少年局決算質疑では、あらためて、子どもや若者がおかれている困難な状況を確認するとともに、若い世代が抱える困難を社会全体で支援していく重要性、必要性を提起しました。
次期中期計画の素案では、子どもの貧困や、貧困の世代間連鎖といった問題が現状の課題として認識されるなど、「こどもの養育環境は厳しさを増している」というこれまでの考察よりもさらに踏み込んだ課題認識が示されています。
昨日の質疑の中でも、横浜市の生活保護世帯数が、18年の35,571世帯から22年には44,438世帯へと、5年間で1万世帯近く増えていることや、この10年間で一人親世帯を中心に、20歳代から30歳代の生活保護受給者が3倍になっていることが明らかにされました。
また、不登校や高校中退の*実態も報告されましたが、不登校、高校中退といった問題は、こどもの貧困に起因する問題でもあります。
「子ども若者ビジョン」(内閣府)でも、家庭や地域における養育力の低下が指摘されており、「帰れる家も頼れる人もなく、社会における受け皿も不十分な中で居場所を探し求めている子ども・若者が増えている」ことが指摘されています。深夜徘徊で補導される子どもたちの問題も、厳罰化を行うことでは、決して解決できない課題です。
次期中期4カ年計画の素案では、「未来の人材」子ども戦略の中で、「支援の必要な子どもへの伴奏的な生活・学習支援」があげられていますが、子どもの育ちの中でできるだけ早い時期に、セーフティネットを用意していく方向性が打ち出されたことは、大きな前進です。具体的には、2010年度から「困難を抱える小・中学生のための生活・学習支援モデル事業」が4区で実施されることになります。事業を進めるにあたっては、地域の資源をていねいに掘り起こして行くことが求められます。そして、学校教育といかに連携できるのか、これも事業の成否のカギを握っていると思います。
ようやく、若い世代が抱える困難を社会全体で支援していくこと、すなわち人生前半の社会保障の必要性が認識されつつある今、私は、若者の自立支援に「投資」することが社会、経済の活性化につながると思います。一方で、厳しい財政状況を考えると、こども青少年局の中でも新たな課題やニーズを踏まえた予算配分の選択と集中、そして、事業のスクラップ&ビルドが不可欠であると考えます。
不登校・高校中退の実態
*横浜市の小・中学校の不登校児童生徒数(22年3月末現在)
小学生:1,066人(0.55%)、中学生:2,796人(3.67%
*市立高校における30日間以上の長期欠席者(21年3月末現在)
全日制:145名(2.2%)、定時制:442名(31.6%)
( )内は、全生徒に対する比率
*県内の公立の全日制高校における中途退学者(21年3月末現在)
1,865人、退学率:1.61%
*県内の定時制高校の中途退学者
1,279人、退学率:16.44%