信州発エネルギーシフトを学ぶ

 10月3日、オルタナテブ生活館にて「21 世紀の学校Vision」講座(生活クラブ神奈川、神奈川ネット共催)が開催されました。
 第1部では、田中信一郎(地域政策デザインオフィス代表理事)さんから「地域のエネルギー戦略はこう作る」と題したお話を伺いました。
まず紹介されたのは、長野県の建築物環境エネルギー性能・自然エネルギー導入検討制度。市民が光熱費を考慮して住宅を選べる仕組みです。
長野県は「環境エネルギー性能が良い家は、丈夫で長持ちするうえ、冷暖房に要するエネルギー使用量が少なくなり、特に冬季の寒さが厳しい長野県では、長期的にはおトクです」と非常にわかりやすくアナウンスしています。

 省エネルギー基準を満たす新築住宅は全国平均で3〜5割程度と言われている中、長野県では81,7%(2013年度実績)の新築戸建て住宅が省エネ基準をクリア!自然エネルギー設備の導入率も37,3%とのこと。制度導入の効果がバッチリ出ています。
 建築主が、価格が高くても「燃費のいい家」を選ぶことで地元工務店も潤います。機密性・断熱性の高い住宅は急激な温度変化が生じないため、ヒートショックなどが起こりにくく、結果的に医療や介護にかかる費用の抑制にも資するのだと田中さんは言います。
 県内の家電販売店に対しても「統一省エネラベル」の提出を義務化する条例を制定、ここにも省エネ意識を浸透させる仕組みが見られます。ちなみに、統一省エネラベル」の提出を義務化する条例は東京都を含む11都道府県で制定されていますが、神奈川県は未制定。これはどうしたことか。ぜひ条例制定を働きかけたい。
他にも、世田谷区と連携し信州産自然エネルギーを世田谷区の保育園に供給する事業も紹介いただき、地域経済が潤うエネルギー政策がどのように生まれ実行されているのか、わかりやすくお話しいただきました。

 第2部は、大磯エネシフト理事長、岡部幸江さんから、「3万人の町からエネルギーシフト」をかかげて、安全で持続可能な自然エネルギーにこだわり、市民参加型の発電や省エネルギーを進めて来られた活動についてお話しいただきました。
住民の運動で、「大磯町省エネルギー及び再生可能エネルギー推進条例」も制定。条例には、「地域の再生可能エネルギーは地域のもの、地域で得られた利益は地域に還元する」という理念が謳われています。
「原発に依存した社会から転換するためには、立場を超えて賛同を得られる前向きなメッセージを発していくことだ」という大磯エネシフトの基本姿勢は、この条例にしっかりと息づいていると感じます。身近な地域の実践に励まされました。