叶わなかった…住民投票条例の制定
1月6日に市会第1回臨時会に提案されたカジノ・IR誘致の賛否を問う住民投票条例案は、2日間の審議を持って、8日本会議で、賛成34、反対51で否決されました。
→住民投票条例案案採決態度
住民投票条例案の提案にあたって、市長は、「住民投票実施の意義を見出し難い」と否定的意見を附して議案提案を行い、条例案に反対した議員は「軽々に市民に判断を委ねるような問題ではない」と真っ向から住民投票を否定しました。
そして、市長も、反対する議員も、口々に代表民主制が健全に機能していると主張しましたが、果たしてそうでしょうか。代表民主制が健全に機能していないから、住民投票を求める署名が193,193筆も寄せられたのではないでしょうか。
もちろん、代表民主主義によって政治・行政が運営されていることは否定しません。しかし、IR誘致については、市長選の際にも市議選の際にも争点にならなかった。市長は「白紙」として争点化を避けたのですから。
世論調査では6割以上の人がIR誘致に反対の意思を表明しています。もしかしたら、市民の代表であるはずの市長や議会が市民の望まないことをしようとしているかもしれないわけです。住民投票が実施され、その結果が政策に反映されれば、代表民主主義の機能は回復する。皆それを期待して直接請求を行ったのです。
また、市長は、住民投票実施のコストを十分に考えなければならないと言いますが、自らが推進するIR事業に関しては、経済効果や増収効果の積算根拠も、インフラ整備にかかるコストも依存症対策など社会的コストも明らかにしないままに、推進予算を計上してきたではないですか。
直接請求署名が進む中で、市長は、「賛成反対の直接的意見は付さず議会に委ねる」、「住民投票が行われ市民の多数が反対であれば結果に従う」などと発言していましたが、そもそも、「IRについて市民の皆さま、市議会の皆さまの意見を踏まえたうえで方向性を決定する」と公約していたはずです。なのに市長は一度も市民の意見を聞くことなく、IR誘致を表明し今日に至っています。このことは記しておきたいと思います。
審議を前に、市議の皆さんに面談を申し入れた際には、「カジノ反対の活動をされているグループ・団体との面談については、私の所属しております●●●横浜市議団といたしまして所属議員全員が禁止されております。申し訳ございませんが面談の要望についてはかないません」という答えもらいました。
地方議会は住民の代表機関です。横浜市議会基本条例に謳われた活動原則や、市民との関係、政治倫理をあらためて問いたいです。
昨日は、コロナ禍とIR カジノの行方について鳥畑与一さんのお話しを聴かせていただきました。相変わらず、経済的社会的効果を科学的に評価する仕組みのないままに、コロナ前の成長戦略からも脱却できないIRカジノ。苦境に立つカジノ事業者に大規模投資を行わせて事業継続が困難な場合のリスクを自治体が負担するなんてことも懸念されます。本当にやめてほしい。
市民の声に背を向ける市長や議員に失望しつつも、もう後戻りはしない、できないという思いです。たくさんの署名に表された政策決定への参加を求める市民の意思を新しい地方政府を生み出す力に変えていこう。