昔から人類が戦ってきた。それがギャンブルだ
昔から人類が戦ってきた。それがギャンブルだ。
これが、精神科医鈴木伸さん(ことぶき共同診療所・所長)の講演の第一声でした。
「ギャンブルによって生活が破綻する、いろんな犯罪を起こす。それをまじかに見てきた」という鈴木さんはさらに、さらにこう続けられました。
「日本では、奈良時代からギャンブルを規制するという風潮があった。世界中で、人類にとって「すごく危ないもの」という認識があって「賭博」を禁止する制度ができた。」(刑法185条)
寿町で〜間近で診てきた立場から〜
日本三大ドヤ街の一つ寿町には現在約5400人の方たちが暮らしています。ここに、高度経済成長期を支えた日雇い労働者が暮らしてきました。このエリアの高齢化率は現在50%超えています。病気や怪我で働けなくなり、そのまま住み続ける方も多くいます。鈴木先生は、生活困窮者の支援施設などに暮らす人の中には、依存症の人が多く含まれていると言います。
ギャンブル依存症という病気〜「依存症になったらリセットすればいい」は本当か?〜
ギャンブルにのめり込んで、日常生活、社会生活に支障をきたしてしまいます。だらしないとか、性格の問題というよな誤解もありますが、ギャンブル依存症は、WHOも認めている脳の病気。2000年ごろから依存症の研究も進み、他の依存症も含めて、どうもドーパミンが関係している病気だということもわかってきたとのだそう。でも、「否認の病気」とも言われ、なかなか治療に結び付かず、治療が遅れてしまう事例も多いと言います。
市長の「依存症になったら(市大に行って)リセットすればいい」と言う発言に対しても、「全然そんな感じじゃない。なかなか治療に結びついてくれない。市大にギャンブル依存症専門医もいない」と厳しいコメントが続きました。
パチンコこれだけあるんだし、カジノが来たって・・・という論に対して
各国の「ギャンブル障害の生涯有病割合」を比較すると、日本の有病割合が抜きん出て高いことに改めて気付かされます。この要因は明確。世界のギャンブル用の電子的ゲーム機械(パチンコやスロット)の58%が日本にあるからです。
カジノ・IR推進派も、カジノが解禁されたら、その影響として「ギャンブル依存症が増える」ことだけは認めており、依存症に陥るプレイヤーの割合は1~2%と見込まれるとしています。
仮に、1000万人のプレイヤーがいると10~20万人が依存症に陥ると言う事になります。確実にギャンブル依存症患者は増加するよと言っています。ギャンブル依存症はその人だけが困るのではなく、周りの人を巻き込みながら進んでいく病気であることも忘れてはなりません。
鈴木先生は「最後に」として次のようにまとめられました。
とても楽しい娯楽施設ができる。
サイコーの展示・ショーがみれる。
ホテルもきれい。
食事もおいしい。
夜景も最高!
でも、100人に1人の人生が、その家族がギャンブルに飲み込まれていく。
やはり
横浜の未来のためにカジノ・IRを誘致する。これは、最悪の選択と言わざるを得ないのです。
*精神医療団体は、カジノの誘致に反対の声明をだし、市長リコールの受任者を募る運動も展開されています。