なぜ保育・子育てにおいてソーシャルワークが必要とされるのか

10月28日、日本福祉大学の渡辺顕一郎さんを講師に迎え、ソーシャルワーク(SW)についての学習会が開催されました。(全国小規模保育協議会主催)

ソーシャルワークについては、アメリカやイギリスでは、19世紀末、貧困家庭に対する慈善事業として端を発し、すでに一世紀以上の歴史があると言います。他方、日本の保育分野で行政がソーシャルワークというワードを使い始めたのが2016年頃。でも、「福祉事務所にケースワーカーいるじゃないか。」「いや、財布の紐を握っている人がSWできるのか?」というような議論もあり、「実態としてSWは存在していなかった。」と渡辺先生は指摘されています。その上で、内面や行動に着目し問題解決を助ける心理専門職や、政策・制度を通じて支援を行う政治・行政に対して、本人、家族、地域、職場といった関係性に着目し、それらとやりとりしながら問題解決を助けるのがソシャルワークであると整理して下さいました。
保育・子育てにおいてソーシャルワークが必要とされる背景としては、子育ての孤立化や所得格差と貧困、さらに発達に課題を抱える子どもの問題等があげられます。さらに、「2015年度に全国208か所の児童相談所が虐待相談してと対応した件数は103,260件で過去最多となった。様々なケースが混在しているが、これら全てを児童相談所が対応することは困難。」という見解とともに、児童虐待対応における予防的支援、とりわけ身近な地域において支援を展開する必要性について、地域子育て支援拠点の利用者の事例も引いてお話しくださいました。
国は、すでに一般的な子育て支援家庭への支援を担う中心的機関として「子育て世代包括支援センター」を設置することを市町村の努力義務とし、中間層は「市町村子ども家庭総合支援拠点」、要介入支援層は児童相談所が、というように三層の支援体制の構築をめざしているようです。
私たちも、経済的に安定しない家庭や外国につながる家庭、配慮の必要な子どもへの支援などを通じて、子どもに対する保育にとどまらない様々な保護者・家庭への支援を意識する場面に出くわします。「一時保育」や親と子の集いの広場、産前・産後支援など「派遣型サービス」がその入り口となる事例も多くあります。その気付きをフィードバックし支援のあり方を共に考えてくれる所は一体どこなんだと迷い、悩むこともあります。
「私たちがなんとかしてあげないと…と抱え込まないことが大事。それではSWというよりも自己完結型になってしまう。自分たちの分野を超えた色んな資源を知り・つながることが大事」と渡辺先生は言われます。小規模保育は0~2歳までを対象とした保育。3歳以降どこに(誰に)つなげるのかといった縦の流れも意識したネットワーク作りの必要性にも言及されました。
切れ目ない支援を提供するための軸となることが期待されているのが子育て世代包括支援センターです。(政策的にはそうなっている。)横浜市は、横浜版「子育て世代包括支援センター」構想の中で、区に母子保健コーディネーターを置いて、子育て支援拠点の子育てパートナーと連携して切れ目ない支援をするとしています。今年度は南区、都筑区、泉区の3区がのモデル区となっています。その取り組みについても今後調査をしてみたいと思っています。