「共に生きる」信愛塾の取組みを伺う
特定非営利活動法人在日外国人教育相談センター・信愛塾におじゃまし、竹川真理子センター長、大石文雄事務局長にお話を伺いました。
信愛塾の活動は、1970年代、就学通知が届けられない外国籍市民の「学校への入学の仕方がわからない」という声を受け、教会員や教員が中心となり横浜市教育委員会に働きかけを行った運動を契機にスタート。以来、在日外国人と共に生きる社会づくりをめざし、居場所をつくり、補習教室や生活相談支援を展開されています。行政や警察、家裁、弁護士、民間事業者など様々な機関とつながりながら活動されている様子をうかがう事ができました。
グローバル化の進展に伴い、外国籍市民は増加を続けており、横浜市の外国籍市民の人口は8万人を越えました。親愛塾の活動の中心地域、横浜市南区では約25人に1人、中区では9人に1人が外国籍市民という状況です。日本で結婚する18組に1組が国際結婚をしており、国際離婚の件数も増加し、日本語も外国語も十分身につけられないセミリンガルの子など日本国籍を持った子どもへの支援も必要とされています。国際教室(県費)による日本語指導だけでは対応できず、信愛塾のような民間の取組みも重要なセーフティネットとなっています。
信愛塾には小学生を中心に100人の子どもが登録しており、多くは学校から先生に連れられてやって来るそう。今後、入国後集中的に日本語を習得できるシステムを整備することや、高校受験時の「在県外国人等特別募集」の拡充、高校進学後の学校内での寄り添い型支援も求められます。竹川さんからは、親愛塾で育った子どもたちが、子育てや介護の現場で、外国籍市民などの支援に携われるような就労マッチングを進めていきたいという展望もうかがいました。
多くの企業もダイバーシティ・マネジメントを掲げる時代です。マイノリティの人権が保障されてこそ、本当の意味でのダイバーシティが推進されるはずですし、外国籍市民が活躍しているその姿にこそ共感が広がるのだと大石事務局長は強調されました。今こそ、地域で進められている共に生きる「人間の安全保障」の取組みに学び、日々の運動の力としたいと思います。
*信愛塾「在日外国人住民施策アンケート」