決算特別委員会報告『公立高校の入学者選抜における「配慮」について』

 決算特別委員会、教育費の審査で、公立高校の入学者選抜における「配慮」について取り上げました。

 現在、公立高校の入学者選抜にあたって、障害などにより通常の受験が困難な生徒に対して一定の配慮が認められており、学校からの『受検方法等申請書(第6号様式)』により対応が図られることになっています。「平成26年度公立高校入学者選抜」においては103件の申請があり、答案用紙の拡大や、学力検査を別室で受検するなどの配慮が行われたとのことです。昨年度の受験者総数は51,932人ですから、配慮を受けた生徒の割合は0,19%となります。私が質したかったのは、 通常の受験が困難な生徒が、本来受けられるべき配慮をきちんと受けられているのかということです。

 教育委員会からは、中学校校長会で年3回説明を行うとともに、学校説明会で周知していており、今後もその取組みを行うという答弁がありました。
 横浜市の通級指導教室に在籍する子どもの保護者の会「ありんこの会」が市内に4校設置された中学校通級指導教室の保護者を対象に実施した調査では、申請を行えば「受験での配慮を受けられることを知っている」という人は、24年度の調査では35%、25年度の調査では44%という結果です。同調査では、公立高校の説明会・個別相談でも入学試験時の配慮について説明があった高校はなかったという結果も報告されています。『神奈川県公立高等学校入学者選抜募集案内』〜特別な事情のある人は?〜の中で「障害等のある人」の記述はありますが、「障害等」の範囲が明確ではなく、詳細の情報を中学校に問い合わせても情報が得られない場合が多いのが現状です。

 県のHPには、「平成26年度神奈川県公立高等学校入学者選抜募集案内」として実にたくさんの情報が提供されています。受験時の配慮について、保護者が検索すると思われるキーワード『障害 発達障害 通級 支援 配慮 別室』を平成26年度神奈川県公立高校の「志願のてびき」「募集案内」「選抜実施要領」「様式集」といった入学者選抜各種案内において検索してみたところ、記載されていたキーワードは「支援」と「配慮」のみ、「支援」については29件ヒットしましたが、そのうち、27件は学費支援制度、2件は特別支援学校の説明で、受験に関する支援はゼロ、「配慮」についても合計4件のうち、支援についての明記は1件のみ、その他は不登校への配慮でした。
 そもそも入試に際して配慮を受けるには、同様の配慮を中学校の定期試験で受けていることが条件とされていますが、県教育委員会としては、そういった配慮を受けている生徒数についても全く把握されていません。
 2012年に文科省が実施した調査では、通常の学級に在籍する児童生徒のうち知的発達に遅れはないものの学習面 又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%とされ、その55,1%にいずれかの支援がなされているものの、 いずれの支援もなされていない児童生徒の割合は38.6%とされています。本県においてもまだまだ課題があると思われます。
 入試の際の配慮はもとより、日常的な支援体制を整えていくことが求められていることは言うまでもありません。入試が近づいてから入試時の配慮のしくみを知っても活用できないうことも考慮し、現状の周知方法に課題はないのかあらためて検証を行い必要な見直しは行うべきです。学びたいという希望に応え生徒の進路選択の幅を拡げられるよう引き続き提案していきます。