常任委員会報告〜ブラック企業対策について〜

かながわ労働センターに置かれたリーフレット

 いわゆる「ブラック企業」については、法的に定義できない労務管理の問題という側面もありますが、多くの若者を採用し、過酷な労働条件で働かせたうえ、その大半を退職に追い込むといった、若者の「使い捨て」が疑われる企業と定義され社会問題化しています。

 厚生労働省は昨年、若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督を実施していますが、その結果、県内の222事業場のうち185事業場(83,3%)の違反が確認されています。重点監督の実施に当っては、離職率も勘案し監督対象を選定したとされていますが、大学を卒業して就職した若者のうち、3人に1人が3年以内に勤め先を辞めている実態もあります。
  県の労働相談の概況(2013年度)には、「パワーハラスメント」に関する相談件数は1,417件(前年度比19.9%増)で増加傾向が続いていることが報告されており、質疑の中で、一ヶ月に100時間を超える長時間労働を強いられたという相談事例も紹介されました。

 民間企業が行うインターネットによる求人情報サイトには、月給の中に「営業手当」あるいは「OJT手当て」といった形で、賃金として残業代を紛れ込ませている事例が散見され問題となっています。いわゆる「固定残業代」の問題です。県は、ハローワークと連携した就労支援施策も展開していますが、ハローワークの求人票情報にも同様に不適切な標記があることが指摘されています。
 神奈川県は、「いわゆる「ブラック企業」の対策を実施します!」と宣言しています。昨年は就活生・若年労働者向けセミナー『いわゆる「ブラック企業」を見抜く力』というセミナーを開催した他、ブラック企業の典型的な事例や、関連する労働法規等をわかりやすく解説したリーフレットも作成し労働相談の窓口等で活用しているとのことでした。
 相談窓口で被害者の支援を行うことはもちろんの事、働き続けることのできない会社に若者を送り出さないようにするために、教育や若者就労支援でも有効に活用してほしいと思います。
 県としても、若者の就労支援や困窮者の自立支援などに取組んでいる一方で、若者を使い捨てにする企業への対策が十分なされていない状況は看過できないはずです。労働局とも連携・情報共有をはかり、具体的な対策を進めていかなければなりません。