「架け橋〜きこえなかった3・11」から学ぶこと
神奈川ネットも参加する「東日本大震災 復興・支援ネットワーク神奈川」で、ドキュメンタリー映画『架け橋 ~きこえなかった3・11』を上映しました。この映画は、ご自身が聴覚に障がいを持つ今村彩子監督が、東日本大震災の被災地で、聴覚障がいのある人々がどのように震災を知り、どうやって避難し、どんな暮らしをされてきたのか、社団法人宮城県ろうあ協会の取組みを中心に、知られざる事実を取材したドキュメンタリーです。
宮城県の調査では、東日本大震災による死亡者について、総人口と障害手帳所持者で比較すると、障がい者の死亡率が約4,3倍となっていおり、障がい種別で比較すると聴覚障がい者の死亡率が最も高いとのことです。
取材中にも、震度6の余震が発生、津波警報に気付かず取材を続けていた今村監督は、スタッフに津波警報が鳴っていることを知らされます。「聞こえなかった。揺れが収まったら大丈夫だと思っていた。でも、本当は危なかったんだ。」とその時の恐怖を伝える監督の言葉に、はっとさせられます。
原発事故が発生した福島に暮らす聴覚障がいのある女性は、中学生の娘の手話通訳で、官房長官の発表する事故に関する情報を得ようしたが難しかったと話されました。仮設住宅で一人で暮らす文字の読み書きができない高齢聴覚障がい者の存在も捉えられていました。
名古屋で取材された、市営住宅に暮らす聴覚障がい者が、高齢世帯等の玄関の鍵を預かる事業に参加し自治会役員との関係づくりの一歩を踏み出した姿も映し出されました。最後に、震災以前から、県に対して、宮城県ろうあ協会が設置を求めていた「みやぎ被災聴覚障害者情報支援センター」が開設されたことが伝えられます。災害時の要援護者対策とともに、まず、日常的に情報を共有し、顔の見える関係づくりを進めていくことが必要であり、いずれも、参考としたい取組みです。
東日本大震災 復興・支援ネットワーク神奈川には、協同組合や地域福祉を実践するNPO等も参加しています。今後も、現場と連携した活動を進めていきたいと思います。
上映後には、手話パフォーマンスグループ「ひよこっち」代表の橋本一郎さんを交えた座談会も開催されました。ろう学校の教員でもあった橋本さんからは、宮城県立聴覚支援学校の遠藤先生とのやり取りも紹介いただき、子どもに寄り添う支援のあり方をお話いただきました。