高齢者の住まいと世代を超えたつながりの場「ほっと館」

NPO法人ほっとコミュニティえどがわが運営する「ほっと館」にうかがい、事務局長の藤居阿紀子さん、生活コーディネーターの毛塚香恵子さんにお話を伺いました。

ほっと館は、「自分らしく暮らし続けることのできる住まい」、「人と交わって自立することの出来る住まい」「地域の中で育ちあうことのできる住まい」という3つのコンセプトが掲げた高齢者のためのグループハウスです。
開設までには、紆余曲折があったものの、地域福祉事業を実践してきた生活クラブ運動グループを始め、設計士、不動産業者、税理士、弁護士、行政職員など多様な専門性を持った人たちや、その活動を支える人たちの参加を得て2003年にほっと館が開設されました。まちの課題や暮らし方・住まい方を問い、その解決ために人・モノ・お金を集め非営利・市民事業を展開していくプロセスは私たちとの経験にも重なります。

3階建ての建物の2階、3階には居室、台所、リビング等の共有スペースがあり、1階には、コミュニティレストラン「ほっとマンマ」と子どもクリニックが併設されています。ほっとマンマは、ほっと館を地域に開き、地域とつながる「窓」のような役割を果たしています。また、区から介護保険の地域新事業を受託し週1回のデイサービス「ほっとサロン」も実施しており、毎回大勢の高齢者が居場所として利用しています。

協働の住まいを支えているのは「生活支援コーディネーター」で、ある時は家族の役割を、またある時はケアマネージャの役割を担い、一人ひとりの暮らしを尊重したサポートをされています。現在、60代〜90代の方、20代の若者を含めて9人の方が暮らしていらっしゃいますが、多世代の暮らし、とりわけ福祉の専門性を持った若者の存在も生活の豊かさに繋がっているようです。地域のありようやほっと館で暮らす人、集う人たちによってほっと館も常に変化を続けているとのことです。

高齢者の住まいをめぐっては、サービス付高齢者向け住宅等の整備も進められていますが、NPO法人ほっとコミュニティえどがわでは、その実態調査にも取組まれています。スタッフ体制や入居者の支援内容から認知症や重度化した場合の対応などの課題も浮かび上がっています。私たちも、住み慣れた地域で住み暮らし続けるための住まいや居場所について、引き続き現場の実践に学び政策提言に繋げていきたいと思います。