一歩前進。本会議で「 県有施設の使用許可及び貸付について」提案

 6月の商工労働常任委員会で、報告された「公益財団法人)神奈川産業振興センター」に貸し付けている中小企業保養所「万葉荘」に関する減免措置のあり方に疑問を感じ、調査を続けてきました。行政財産の使用許可や、普通財産の貸付け状況を確認するなかで、課題も整理され、また、県施設の必要性・あり方について原点に立ち返った見直しを求められている現状において、これまでの取組みへの評価や、今後の取組みをどう考えているのか、あらためて、知事の見解を質しました。

まず、これまでの取組みとして、2009年度に取組んだ「緊急財政対策」による重点的見直しにおいては、行政財産の使用料及び普通財産の貸付料の減免について「減免率ゼロ」が掲げられ、2010年度当初予算における減免見直しによる収入増額は1,377万円であったことが報告されています。翌2011年度における使用許可、貸付けの状況は、行政財産のうち土地、建物についての使用許可件数が3,487件であり、そのうち2,372件において減免が行われ、減免の総額は、約8億円となっています。これは、基準に基づく使用料算出額の約7割の収入額となります。普通財産の貸付けについても、土地、建物についての貸付け件数478件のうち289件において減免が行われ減免総額は約122億円、そのうち、PFI事業にかかる貸付けを除くと約33億円の減免額であり、減免率ゼロへの取組みも、なかなか容易ではないことがうかがえます。

減免事案の中には、特例承認という形で、基準を超える減免措置を実施している事例もあり、減免適用理由を確認したところ、県主導の第三セクターに対する厳しい経営状況への配慮というような事例もありました。しかし、団体の財務諸表からはこのような県の財政的な関与は読み取れません。減免措置ではなく、補助金として予算に計上されていれば、県の財政的な関与がより明確になり、その支援の必要性や妥当性も広く検証されたのではないかと考えます。

現在、財産の使用許可、貸付けおよびそれらの減免措置の実施にあたっては、使用者からの申請を受け、基本的には所管する部局で決裁できるしくみとなってい ますが、クロスファンクショナルな視点で、より客観性や公平性を持って判断できるしみくに変えていく必要があると考えます。また、この情報を「見える化」 することで、より厳格に減免基準が運用されることが期待されます。現時点において、財産管理システムでは貸付料の記録がなされていないとのことであり、ま た、予算、決算においても「減免の効果」すなわち減免額を把握することもできない状況となっています。あらためて、公有財産の使用料、貸付料の減免状況の 把握につとめ、その内容については広く公表すべきと提案しました。

知事は答弁で、 社会福祉法人が社会福祉施設などの公益目的で使用する場合の減額又は免除の必要性とともに、使用料や貸付料の減免については、2008年度から、できる限り収入を確保するという観点で、減免基準に適合しているかどうか、減免の必要性があるかなどについて見直しを行った。その結果、2009~2011年の3年間で合計57件の見直しを行い、約3,600万円の収入増加を図ることが出来たとことを報告されました。また、 少しでも自主財源の確保につながるよう、未利用財産の貸付けにも取り組むとともに、使用料、貸付料の減免の適正な運用に努めていきたいと答弁されましたが、財産管理システムの見直しや情報公開については言及されせんでした。

そこで、再質問で、再度情報を見える化する必要性を質し、知事からは、神奈川臨調の最終報告でも緊急財政対策、県有施設のあり方の検討においても会計の見える化をやるべきだとの提言も受けており、わかりやすい形で公表できるように検討していくとの答弁を得ました。一歩、前進です。