16日の震災対策特別委員会では、神奈川県地域防災計画(地震災害対策計画)の修正素案の概要が示され、私は、がれきなどの災害廃棄物等の処理について質疑を行いました。本県には, 環境に配慮した迅速で適正な災害廃棄物等の処理を図るとし、「神奈川県災害廃棄物処理基本大綱」, 「神奈川県災害廃棄物等処理計画策定指針」, 「神奈川県災害廃棄物等処理業務マニュアル」, 「市町村災害廃棄物等処理業務マニュアル」 があります。指針おいては、南関東地震、東海地震、県西部地震の被害が(神奈川県地震被害想定調査報告書/99年)想定されていますが、南関東地震については、約5、670万トンの災害廃棄物が発生すると推計されています。しかし、県内33市町村の焼却施設の年間処理能力は合わせて313万トン。廃棄物の量や質から考えて、当然自治体のみでは対応できないことが想定されます。廃棄物処理に関わる関係団体3協会とは協定を締結しているとのことですが、今後は、県内自治体連携の方策をより具体的に模索すべきです。
市町村における災害廃棄物処理計画の策定状況は33市町村中、19にとどまり、市町村が行う一般廃棄物処理施設の耐震化についても、県内26施設のうち6施設の耐震化が終わっていないという課題も明らかになりました。また、課題としてあげられていた、災害廃棄物の処理に係る仮保管場所や最終処分場の確保についても指針では、「市町村において仮置き場の確保が困難な場合は、県有地の活用に向けた調整を行う」とされていますが、具体的な取組みが行われていない状況が解りました。
また、これまで適正処理が困難とされて来た廃棄物も、主としてアスベストやPCBといった特別管理廃棄物に属するものでしたが、今後は放射能汚染物の処理のあり方も考慮されるべきです。環境省が規制値として示しているのは、埋立て処理を行う際のキログラムあたり8000ベクレルという数字のみです。
今後は、新たな地震被害想定に基づき、災害廃棄物処理に関わる、大綱、指針、マニュアルを改定すべきですが、その際、東日本大震災の経験に学ぶ姿勢も必要です。
仙台市は、東日本大震災で市内で発生したがれきの処理を終える時期について、当初目標とした2013年度末より前倒しできるとの見解を明らかにしています。阪神淡路の震災復興に携わった職員の経験を生かし、学者の参加も得て処理体制を整えたとのことです。排出元において徹底した分別資源化を行う事で廃棄物の減量化が進み、また、その後の処理も楽にし、有害物の排出を抑えるのだそうです。こうして見ると,仮置き場の確保も、災害廃棄物の処理においてはとても重要です。