放射性物質を含む汚泥焼却灰の処分

南本牧廃棄物最終処分場
南本牧廃棄物最終処分場
放射性物質を含む汚泥焼却灰の処分について、横浜市はいち早く安全性を確認したとし、9月15日以降は南本牧廃棄物最終処分場に埋め立てることを発表しました。
一方、県が管理する4つの下水処理場では合わせて2700トンの焼却灰が保管されていますが、県は、来年度いっぱいの保管も想定し、屋外保管のためのテント11基分(1基4000万円)の予算を含め、焼却灰の保管などにかかる経費7億7千万円を東京電力に賠償請求する方針です。また、県内市町村のうち、下水汚泥を焼却している横須賀市、鎌倉市、藤沢市、大和市、箱根町の5市町が保管している汚泥焼却灰はM1037.06トン(8/26現在)となっています。最終処分場をもたない自治体もあり、県外処分の可能性を探っている実態もありますが、他県も受け入れについて慎重な姿勢のようです。

県内には県が廃棄物の県内処理100%をめざし191億円を投じ建設された県立県営の管理型・最終処分施設「かながわ環境整備センター」(横須賀市芦名)があり、活用の可能性についても気になる所です。しかし、県と地元との協定では、かながわ環境整備センターに放射性物質を含んだ廃棄物を搬入することは想定されておらず、知事も6月議会で「通常の廃棄物が(受け入れの)前提」と答弁されています。
一方で、焼却灰の再利用が困難な場合も想定し埋立て処分を検討するとの知事答弁もあり、県の担当課によると、8月末に制定された「放射性物質汚染処理特措法」(来年1月施行)の政省令が示された段階で、県として具体的な方針が提示できるとのことです。

現状は、下水道は下水道法、廃棄物処理は廃掃法と縦割りで県でも環境農政局の廃棄物指導課と県土整備局の下水道課にまたがる課題となっています。新たな法律によって国交省、環境省、経産省が取りあえず横断的に対策を進める法的根拠を持つ事になるようです。いずれにしても、どこまで具体的な処理法が示されるか注目です。

福島で除染作業に当たられていた研究者の「コーティング対策することを前提に、どこかで処分するではなく、自区内処理の覚悟を持つべき」との言葉があらためて思い起こされます。安全対策や関係機関、住民との合意形成には一定期間が必要であり、よりリスクの低い処理法が考案されることを期待し、まずは、いかに安全に保管するかという次善の策を徹底させることに努力すべきと思います。