前回の「電力事業の歴史としくみ」をテーマとした学習会でも、高コストで硬直したエネルギー供給の限界についてもお話いただきましたが、ピークオイルによって将来的に石油を供給できない事態を想定し、まず、現在のエネルギー消費量を減らす取組みの重要性を確認しました。
戦略的に省エネ施策に取り組む事は、節電所(ネガワット)を増やす、つまり、使えるエネルギーを増やす事であるという発想が新鮮でした。省エネルギーの取組みとして、稲城市の市民節電所づくりや、公共施設の省エネ改修、省エネ家電の買い替えサポート事業や省エネモニター制度の効果など具体的な事例が報告されました。
また、地域のエネルギー政策として、埼玉県の市民参加型の太陽光発電事業や、埼玉県小川町のバイオガス施設、岐阜県白鳥町の小水力発電の取組みも紹介されました。埼玉県の市民共同太陽光発電事業補助制度は、公益を目的とした活動等をする団体が、県民等から寄付金や出資金を募り、公益的施設に太陽光発電設備を設置する事業に対し、埼玉県はが補助金を交付するというものです。(補助対象の1/2、上限100万円)2009年度からスタートした事業で、埼玉県はこれまでに3件、2.684.000万円の助成を行っていますが、事業者となったNPOを通じて707人の市民が寄附や出資をしています。
海外の事例として、ドイツで始まった市民事業による配電会社の実践についても報告がありました。協同組合としての取組みは、今後神奈川においても展開できるモデルであり、大変興味深いものでした。
動き始めた地域エネルギー政策、エネルギーシフトの動きを加速させるためにも、発送電を解放し、電力会社による地域独占体制を解体していく法整備が求められます。