短時間就労と一時預かり事業

決算特別委員会報告

昨年10月に立ち上げられた「保育所待機児童解消プロジェクト」において、「これまでの保育所整備を中心とした待機児童解消施策から脱却し、様々な保育資源を活用した選択性の高い総合的な子育て施策を展開する 」という方向性が示されています。私は、先ず、その方向性を歓迎したいと思いますが、今後の課題として、 利用料の格差や保育の質の向上に向けた取組みについても触れられています。この点を踏まえて、プロジェクトでの検討を経て実施されている2つの事業について決算審査で質疑を行いました。

まず、一時預かり事業です。プロジェクトの報告でも、一保育・一時預かり事業を拡充していくという方向性が出され、今年度は、従来の乳幼児一時預かり事業の1日6時間の保育時間を、就労の要件については8時間、11時間の預かりを行うこととして見直されました。
しかし、週3日と言えども、8時間あるいは11時間就労すれば、それぞれ24時間、33時間となり、1週間に16時間の就労を求めている認可保育所の入所要件を遥かにこえた就労になってしまいます。これでは、認可保育所に入所した人と、一時預かりの利用者とで、どちらが短時間就労なのかわからなくなってしまいます。

利用料金で比較をしても、例えば、週3日、8時間のペースで就労をした場合、乳幼児一時預かり事業の1ヶ月の利用料金は、48,000円になります。認可保育所でも週3日以内の就労の受け皿となる一時保育事業を実施していますが、そちらの利用料は同じ条件で利用した場合28,800円(3歳以上なら約15000円)と、選んだ施設で大きな差があります。

認可保育所入所要件の週4日16時間の就労というラインに合わせて、後づけの制度を設計することで、制度を作る側にとっても利用する側にとってもさまざまな矛盾が生まれています。これらの課題を踏まえ、次年度に向け乳幼児一時預かり事業の再度の見直しを期待します。