横浜プリンス跡地開発問題に見る環境設計制度の課題

横浜プリンス跡地開発問題の学習会が開催されました。
問題となっているのは、横浜プリンスホテル跡地開発計画で、事業者は、風致地区の高さ制限を緩和し、高さ31m、1250戸の高層マンション群を建設するという計画を提示しています。
風致地区の建築基準は、本来、高さ制限15m、空地率10%以上、緑地率60%以上とされていますが、空地率を20%以上、緑地率80%以上とすることで、45mまでの建物が認められているのです。

高層マンション群建設は、良好な自然的景観を保全するために定められた地区という風致地区の定義そのものに反するとの住民の厳しい意見も出されています。公聴会や都市美対策審議会なども開催され検討が行なわれて来ましたが、その過程で、住民の情報公開請求により、都市計画提案が提出されるより以前に、2年以上に渡って横浜市と開発業者が「事前調整」を行なっていたことも明らかになりました。

また、提案の評価基準には、「周辺住民との調整が整い、概ねの賛同が得られること」とありますが、今回の都市計画提案は、磯子開発特定目的会社という、この開発だけを目的としてつくられた会社によって行なわれています。この会社が唯一の地権者でもあり、賛同を得るというルールはある意味有名無実化しています。また、資金運用のための会社が住宅売却後も将来に渡って責任を負うのだろうか?という不安の声も上がっています。

勉強会では、高層マンション建設が、景観やまちづくりに及ぼす影響や制度上の課題など、全国の事例をもとに報告され、環境設計制度のあり方について多くの提案がありました。
現在、横浜市でも「港南台うぐいす団地」の高層化に反対し、許可取消の行政訴訟も提起されています。今後も、横浜市の環境設計制度の見直しに向けて議論を深めていきます。