国が使途を決めて自治体に交付する補助金を廃止し、使途のしばりの無い「地方交付税」を交付することは、地方の裁量が発揮され地方分権が推進されると一般財源化を評価する声があります。一方で、一般財源化されれば、財政難の自治体では保育所関連に予算を配分するとは限らない、そうなれば、保育予算は貧しくなり、待機児童解消にもスピーディーに取り組めない、自治体間格差も生じるとの指摘もあります。
市民の選んだ首長や議会の判断によって自治体に格差が生じたとしても、それも含めて有権者の選択であり、住民参加が問われると言えば、それも正論です。しかし、今回の議論は少々乱暴ではないでしょうか。一般財源化によって国の関与が無くなる事で、保育の質が担保されないと危惧する声にどう応えるのか、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」という児童福祉法第二条にどう向き合うのか、といったいくつかのハードルがあります。
子ども手当のように現金を給付することと保育サービスを充足させることはともに必要であり、バランス感を持って進めて行くべき施策です。そして、何より、保育・子育て支援予算のパイを拡げる努力を最大限行なうべきです。
政府は15日の閣議で、2010年度予算に関し「子育て」「雇用」「環境」「科学技術」を重点4分野とする基本方針を決定しています。まずは、子育て世帯への社会的支出を他の先進国レベルの3%(現在、日本は0,81%)まで引き上げるという目標を持ち、子どもを大事にする政府ですという宣言してはどうでしょうか。国も自治体もともに、チルドレン・ファーストの実現に向けて走り始めなければ…未来は拓けません。