水需要が減少する中で、ミネラルウォーターに遜色ない安全でおいしい水道水をアピールするために、水道水や水道水源の水をペットボトルに詰めて販売する自治体が増えています。全国の自治体や関連メーカーで構成されている公益法人「日本水道協会」が進める「安全でおいしい水推進運動」でも、ボトルウォーターの製造を推奨しており、すでに70を超える水道事業体で販売しているそう。先日は、川崎市が販売するナチュラルミネラルウォーター「恵水」(めぐみ)が、生田のさく井から採水されタンクローリーにつめられ、秩父の工場でペットボトルに充填されるまでを追いかけて製造過程を見学しました。一日半をかけて4万本のボトルが製造されますが、地球温暖化へのさらなる取り組みが求められる時代に、ペットボトル製造のために石油を消費し、製品の運搬、また容器の処理などにエネルギーをかけるプロセスに、私は疑問を感じます。
秩父市大滝の(株)秩父源流水は、川崎市だけでなく、関東エリアや新潟など遠方の自治体からも委託を受け、それぞれの地域の水を充填したペットボトル商品を製造しています。担当者の話では、自治体のボトルウォーターの製造委託を受けられるメーカーは全国に3社ほどあるそう。首都圏にも飲料メーカーの工場はありますが、水の単独ラインでなければフレーバーが残るなどの問題が生じ、大手メーカーも参入できなかったという事情があるようです。そのためメーカーは限られ、多くは随意契約で受託されています。
横浜市水道局が販売するボトルウォーターはまっ子どうしも、当初は秩父源流水に製造を委託しており、第一号のボトルが残っていました。山梨県道志川から秩父へとかなりの長旅です。現在は(ラベルには記されていませんが)、群馬県の工場でボトルに充填され横浜に運ばれています。工場を変えた大きな理由は販路の拡大であったと思われます。日本水道協会のHPの紹介サイトで紹介されている他の自治体のボトルウォーターに比べ、はまっこ子どうしの販売場所の多さは群を抜いています。そして、はまっ子どうしはフルカラー、フルサイズのラベルで、キャップにもこだわりがあり、「ハマピョン」(カエルのキャラクター)がデザインされています。こういった戦略は評価すべきなのかもしれません。でも、そこまでコストをかける必要があるのかは改めて検証されるべきと考えます。
*はまっ子どうし販売場所:市内のデパート、スーパー、生協、小売酒販売組合店舗、コンビニチェーン店などの一部。公的施設・病院等の売店・市内の自販機の一部
* 現在もはまっ子どうし「バックインボックス」タイプは秩父源流水で製造されています。