横浜市衛生研究所のP3施設

磯子区にある横浜市衛生研究所を訪問し、施設内の*BSL3(P3)施設について教えていただきました。衛生研究所では、P3施設で扱った病原体などについて公表を行っていませんし、衛生研究所にP3施設があること自体余り知られていないと思います。衛生研究所は、中国産冷凍餃子の健康被害事例の調査に代表されるように、感染症や食中毒や食品についての細菌、添加物の検査や調査研究を行う施設として知られています。
今回の視察は、藤沢・鎌倉市域に建設が予定されているP3施設についての調査の過程で、既存施設のP3施設の存在がクローズアップされ、あまり知られていないその実態を知るという目的で実施したものです。近年、生物テロ未然防止の観点からP3施設の役割も大きく変化を始め、昨年の6月の感染症法の改正も行われました。法改正により新たな規制が設けられ、施設の基準や病原体の保管等の基準、事故届けおよび災害時の応急措置などの対策が必要となりますし、厚生労働省の立ち入り調査も義務づけられる事になります。衛生研究所は、現在、厚生労働省に許可申請中であり、「みなし許可」を得て改正法への対応を進めている段階であることもわかりました。
県内のP3施設は、横浜市の他には川崎、茅ヶ崎、相模原、横須賀にあります。
茅ヶ崎市には県が運営するP3施設がありますが、こちらは、すでに、自治会との安全協定、環境安全計画、健康危機発生時の協定書などが公表されています。しかし、横浜市衛生研究所については、施設が開設された昭和43年当時、そういった手続きが必要とされていなかったため、地域との安全協定等の締結義務が無くその後も周知は特に行ってこなかったとのこと。この場所は、かつては沼地で住民も少ない地域だったそうですが、現在は、住宅に囲まれ、近隣には保育園、小学校などの公共施設もあり、地域への情報提供や理解を得る努力も必要となっているのではないでしょうか。法改正を契機に検討を進めていかなければなりません。
*BSL3(P3)
P3の「P」は、Physical containment=物理的封じ込めの頭文字P1〜P4の各レベルで扱う病原体の種類が決められており、P3で扱う病原体は、HIV、チフス菌、炭疽菌、サーズなど