日米両政府が、在日米軍再編計画について、地元自治体との合意を断念し、三月末から四月初めにも「最終報告」をまとめるとも伝えられる中、日米外交・防衛当局の審議官級協議を30、31両日にワシントンで開催するという日本政府の発表がありました。
しかし、そのテーマとして伝えられているのは、在沖縄海兵隊のグアム移転費の負担割合や、米海兵隊普天間飛行場のKC130空中給油機の移駐先などとされ、キャンプ座間や横須賀基地を抱える神奈川の自治体との調整や、岩国基地についての報道はありません。
安倍晋三官房長官の、「最終合意については、日米で協議が調い次第、それが最終合意ということになる」という発言からも、日米合意優先で決着するという姿勢は明らかです。市民、自治体は、最終報告の策定にあたって「地元との調整を完了すること」とした約束が忘れ去られようとしていることを、見過ごしてはならないと思います。「国防は国の専管事項」とありますが、同時に、基地問題は市民生活にかかわる最重要事項です。自治体の同意をも得られないほどの無謀な計画に「地域エゴ」もない。
自国の安全保障を謳い米空母の駐留を求めている唯一の国日本は、世界、アジアの市民の目にはどのように映っているのでしょうか。まさに、アメリカの世界戦略の一翼を担い、アジでの孤立や対立を生み出しています。
岩国市では、先日、住民投票によって米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転案の「受け入れ反対」の意志が示されました。これまでのような、移転容認の見返りとしての地域振興策よりも、基地機能の拡大・強化への不安や負担増といったリスクを回避したいという民意が明らかにされたのです。市長・市議会は、地方自治の原則にのっとって、その結果を最大限尊重する義務を負うべきです。
現在、基地機能強化反対の姿勢を明確にした現市長に対し、次期市長選挙の対立候補擁立の動きもつくられ、選挙によって、政治決着が図られようとしています。
知恵を出し立ち上がる時。
平和な地域をつくる自治体の高らかな平和都市宣言を市民運動によって勝ち取る道を突き進みたいと思います。