サーキュラーエコノミーのお手本です〜飯館電力バーチャル視察〜

復興五輪。
当初、東京オリンピック・パラリンピックの開催意義は「東日本大震災からの復興」とされていました。
その意義はいつしか「コロナに人類が打ち勝った証」となり、さらに「世界の団結の象徴」へと変化してはいきましたが、開会式では、被災地の子どもたちが聖火を繋ぐ場面もありました。

オリンピック開幕直前の7月21日、私は「飯館電力バーチャル視察」というオンラインイベントに参加していたのですが、そこで出会ったのは、復興支援と原発事故を風化させないためにと活動を続けておられる方たちでした。
参加者は、オンライン上で、バスに乗ったり、ヘリコプターに乗ったりしながら、あらためて2011年3月11日から飯館村に起こった出来ごとを振り返ります。

「一時」と思っていた全村避難は長期化、終わりのない除染作業、進まない帰村。福島は今もなお原子力緊急事態宣言の解除が見通せない状況です。豊かな森とフレコンバッグの黒い景色が共存する飯館の景色に、途方もなく長く険しい復興への道のりを実感させられます。
そんな苦しい状況の中で、村の内外から資金提供を受けて立ち上げられたのが飯館電力です。村民の仕事をつくり、地権者の農地を保存し、村には税を収める、さらに、農業や畜産を復活に寄与する取り組みを展開し、自然エネルギー&復興ツーリズムなど新しい価値を生み出すことをもめざしてきました。まさにサーキュラーエコノミーのお手本のような会社だと思います。

バーチャル視察でガイドを務めておられた千葉訓道さんのお話を初めて聴いたのは3年前の夏。その時「ぜひ、福島にいらしてください」とおっしゃった千葉さんの言葉を真に受けて、翌翌月には飯館〜土湯のリアル視察に出かけました。そこで出会ったのは諦めない方たちでした。取り組みの一つひとつに緻密なボトムアップ戦略があって、未来へのメッセージもありました。

飯館電力が設置したソーラーシェアリング型の発電所では、ソーラーパネルの下で牧草を育てます。すぐそばの真新しい牛舎では、飯舘電力の収益で購入した子牛たちが、その牧草を食んでいました。「安全な牛」にこだわる姿勢は随所から伝わってきます。私が訪ねた際は、オーナーの小林稔さんが闘病中だったこともあり、8年がかりの飯館牛の再出荷のニュースを聞くたびに胸アツになるのです。(バーチャルツアーでも紹介されウルウル)

震災の影響を受け危機的な状況にあった土湯温泉でも、自然エネルギーを核とした「元気アップつちゆ」のまちづくりの実践に触れました。新たに取り組んだ
バイナリー発電の事業収益は、地域の高齢者や高校生のバスの定期券の支給に活用されたり、土湯小学校の給食費と教材費に充てられていました。

発電後の熱水はエビの養殖にも活用されており、青く長い美しい手を持つ「つちゆ湯愛(ゆめ)エビ」ともご対面。本格的なエコツーリズムを展開する予定で、再エネ体験学習施設を建設などの環境整備に向けた青写真も描いておられたのですが。
昨年からのコロナ禍で、どうしておられるかと思いきやバーチャルツアーで再会することとなりました。
「自然エネルギーを代表的な福島県産品にしよう!」と相変わらずエネルギッシュな千葉さん。
「スイッチングは一人ひとりの誇り。地球の未来を守こと。」とも。ホント、電気にはいろんな意味がつまってます。

オンライン上で広い世界とつながれる今、どこか遠くで起こっていることとしてスルーされていた問題が、地域や国を超えて自分ごととして飛びこんできます。とりわけ、環境問題については、若い世代がムーブメントを牽引する時代。ニーズに敏感な企業も同様にSDGsの時代にふさわしい経営理念を追求する。これはやはりチャンスなのですね。
社会は変わり始め、とり
残されたのは政治ってことにならないように。
「オリンピックが始まれば空気は変わる、政権支持率も上昇し、その勢いで解散総選挙に向かいたい」などと言っているトップリーダーたちの姿を思うと‥‥うーん。辛いなあ。

千葉さんたちのその構想力と実践力に学びながら、今日も足下から変えることに努力したいと思います。市民社会の実践も地域や国を超えて繋がる時代になったのだから。