北東アジアの平和と非核化を実現させよう

4月27日、10年ぶりとなる南北首脳会談が開催され、朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言が発表されました。6月12日には、米朝首脳会談も開催され、朝鮮半島は大きな歴史的転換期を迎えようとしています。
こうした情勢下、北東アジアにおける紛争の予防や解決に関係する協調的な地域づくりに向けて、北東アジア非核兵器地帯の設立の重要性を提起され続けてきた湯浅一郎さん(NPO法人ピースデポ共同代表)にお話を伺いました。


振り返れば、昨年の今頃、朝鮮民主主義人民共和国(以下、DPRK)のミサイル・核開発をめぐり、かつてないほどに軍事的緊張が高まり、まさに「戦争に備える体制の整備」が、止め度のない軍拡と終わりが見えない対立を生み出していた状況で、ここから抜け出すためには、相互の軍縮措置が、安全を保障していく正の循環へ向かう道へ歩み始めることしかありません。
昨年9月、国連総会で、トランプ大統領がDPRKの最高指導者を「ロケットマン」と揶揄し「米国と同盟国の防衛を迫られれば、北朝鮮を完全に破壊する。」と演説。安倍首相も「対話では何も解決しない。必要なことは対話ではなく、圧力だ。」と発言しています。これに対して、DPRKのリ・ヨンヒ外相も「我が国の核武力は、徹頭徹尾、米国の核の脅威を終わらせるための自衛的措置」と強調するなど相互の不信と憎悪が渦巻く状況でした。
この時、韓国のムン・ジェイン大統領は、「戦争を経験した世界唯一の分断国家の大統領の私にとって平和は人生の使命であり、歴史的な責務です。私は、ロウソク革命を通して戦争と紛争の絶えない世の中に平和のメッセージを送ったわが国民を代表しています。」と発言。平昌オリンピックへの北朝鮮の参加を呼び掛けたのでした。国連演説に先立つ昨年7月には、ベルリンで「新朝鮮半島平和ビジョン」を提案、「朝鮮半島の非核化、朝鮮戦争の終結、離散家族対面、経済協力等を総合的包括的に推進しようと提起しています。湯浅さんは、ベルリンという地を選んで発せられたメッセージにこそ着目したいと指摘されました。
浮かび上がってくるのは、文政権の地道な外交努力。湯浅さんは、「文政権は、前のパク・クネ大統領の不正疑惑に対する韓国市民の怒りが生み出したもの。こう見ると、韓国市民の思いが、朝鮮半島に平和を生み出そうとしているということになる。つまり、韓国民衆の声が、今の状況を生み出している。これは極めて重要。」と分析されています。
そして、今も北東アジアに続く冷戦構造を終わらせるための外交政策が求められており、朝鮮戦争を早く終わらせることと、北東アジア非核兵器地帯条約をつくることをセットにした包括的な平和構想を打ち出すことの重要性にも言及されました。今後は、核兵器禁止条約ができ、核兵器を禁止する規範ができていることを活かし、日本の核依存政策を変えていく、そのために韓国や米国のNGOと連携した日本の運動が鍵を握ると結ばれました。
私も、北東アジアに続いている冷戦と安全保障ジレンマを超える道筋が見え始めていることを改めて実感しました。次回7月27日の第2回学習会では「市民社会が構想する北東アジア安全保障の枠組み」というテーマでさらに学びを深めます。