残念すぎる…神奈川県「県民局」の廃止

21日、県議会本会議で「神奈川県局設置条例の一部を改正する条例案」が可決。これにより、来年3月末をもって県民局は40年の歴史の幕を閉じることになります。条例改正により、新たに2つの局が設置されます。これについても言いたいことはありますが、それはひとまず置いておいても、県民局を廃止することについては、議会の力で何とか押し返して欲しかったです。
県民局といえば、まず思い出されるのが2011年の指定NPO法人の指定に向けた手続き条例の制定。条例制定に先立ち多くのNPOの皆さんと意見交換を重ねる中で、県の先進的な取り組みに期待が寄せられていることを実感しました。議案として県議会に提案された際に行った賛成討論賛成討論は強く記憶に残っています。
かながわボランタリー活動推進基金21協働事業基金には、多くの先進的な取り組みが寄せられました。この基金はNPOやその活動によって支えられる人たちを応援するだけでなく、県にとってもその優れた市民の実践を学び、真に必要とされることや、時代の要請を知る貴重な機会となったはずです。
県民局の廃止を含む条例案が提案されたことを受け、まずは声を上げようと20団体が賛同しすったもんだの末に2つの陳情も提出。(陳情文はこちら
18日には、陳情を提出した賛同団体を代表し梅原真理子さんが県民・スポーツ常任委員会で口頭陳述も行いました。その陳述内容もここに記しておきたいと思います。
(県民・スポーツ常任委員会での口頭陳述)
私たちは、地域で、環境や福祉、人権、平和、まちづくり、文化・芸術国際協力と、幅広い分野で活動している団体です。その時々の社会の課題に対して関心を持ち、街中で市民の意見をシールで表してもらう「シール投票」を実施し、その結果を国会議員やメディアに届けるアクションもおこなっています。ただいま開会中の定例会に、県庁組織の再編を進める「神奈川県局設置条例の一部を改正する条例案」が提案されております。
知事は県政の課題に迅速かつ的確に対応するためとおっしゃっていますが、現在どのような不都合がおきているのか、再編によって、どうそれが解決に繋がるのか県民にはその絵が見えない為、不安と不信が先立ちます。その中でも、県民局を廃止し、各部門を複数の局に移管することを知り、大変驚き急ぎ声をあげました。
40年の歴史をもつ県民局は、私たち県民生活に深い関わりを持って、県民運動の推進に大きな役割を担って来た部署です。全国の自治体に先駆け、多文化共生の理念を掲げ、人権施策や市民協働施策を推進して来た歴史があります。人権・男女共同参画、情報公開・広聴、NPO協働、文化等の課を設置し、自律的な県民活動を一体的にサポートしてきた県民局は、私たちにとってなくてはならない存在です。
相次いで起こる人権を踏みにじる事件に対しても、あらためて一人ひとりを大切にする視点を基盤とし、人権施策を総合的に進めることが求められています。こうした時代の、社会の要請があるにも関わらず、なぜ県民局を廃止し、その機能を各局に分散させてしまうのか、理解できません。
これほどまで大規模な組織改変は13年ぶりとのことですが、このような県民に大きな関わりを持つ部局再編については、幅広く意見を聴き丁寧に進めることが必要であり、拙速に2018年4月から県民局を廃止すべきではないことを強く申し上げます。
議員の皆さまには、二元代表制の議会の力を発揮され、県民の代表として、県民のための県政を進めていただくことを強く願い、陳情させていただきます。
(以上)

口頭陳述を終えて。梅原真理子さん(右)青木マキさん


審査では、陳情の趣旨にそう質問も出されましたが、落とし所は、「県民が混乱することないように」「丁寧に説明し」「進めてほしい」といった感じ。委員会採決で陳情は「継続審査」という結果に。
総務・政策常任委員会で審査されたもう一つの陳情「NPO施策のさらなる推進を求める陳情」は不了承となりました。(口頭陳述は青木マキさん
こちらでも「県議会はもとより各種団体や多くの関係者が拙速感や唐突感を感じている。執行機関は重く受け止め今後充分説明責任を果たすべき。」という意見も出され、結局、条例案には、「大規模な県庁組織の再編を行う際には、県庁内並びに県議会において、十分な議論が尽くせる機会を確保するとともに、県民への説明を丁寧に行った上で、条例案の提案を行うこと」という意見が附され可決という結末となりました。
拙速なプロセスも許しがたいのですが、「何で県民局を廃止しなきゃいけないんですか?」というそもそもの問いや、県民局を廃止しなければならない必然性について明確に答弁するというようなやりとりにならなかったことは本当に残念です。
さて、知事は、この間の経過をどう受け止められたでしょうか。重い決断をされたことは認識いただいているでしょうか。
これから具体的な局再編の作業を進める中で、かかるコストも明らかにされるはず。
この条例改正がもたらす効果があるとすればどのようなものなのか、じっくり検証していきたいと思っています。

21日本会議。神奈川ネットの佐々木由美子県議が、あらためて、県民局の歴史、役割に言及し明確に「県民局は廃止すべきではない」と条例案への反対討論を行いました。