ニーズに応える保育施策を!誰のための「待機児童ゼロ」か?

「保育園落ちた…」ブログをきっかけに、待機児童問題に注目が集っています。6日、読売新聞が「保育所申込者、定員越え自治体6割」という記事で、募集の人数と申込者数から入所の倍率を割り出し公表しています。それによると,県内では川崎市が1,49倍で東京23区に次ぐ高さとなっています。ちなみに横浜市はブランク。データが揃わなかったとしていますが、市が公表しているデータで計算すると、恐らく1.03倍です。
自治体の待機児童数のカウント方法をめぐっては、集計方法に違いがあり、実態を現していないとの批判も聞かれます。神奈川ネットは、潜在的な待機児童数も含め公表することを提案してきました。横浜市では「認可保育所の利用申込みをしたのに入所できなかった人数」を保留児童数とし、年に2回、待機児童数のカウント方法を含めて公開するといった取組みが進みました。
一方、市は新設保育所の年度途中の開所は認めておらず、保育所の開所は4月に集中しています。待機児童は年度末に向かって増加していきます。そのため、育児休業を早めに切り上げてて0歳(4月)申込で入所する、育児休業を延長しても4月まで足りず仕事を辞めざるを得ないといった事例も発生しています。これらは、4月1日時点の待機児童数が自治体の保育施策の評価指標の柱となっていることが大きな要因です。待機児童ゼロを公約に掲げる首長も多いのですが、待機児童ゼロは首長のために達成するものではありません。年度途中でもタイムリーに整備できる小規模保育の活用を進めることはもとより、さらに短いスパーンで保留児童数を公表し、自治体の取組みを適正に評価する仕組みに変えることが必要です。神奈川ネットは、多様な子育て支援施策の展開と一層の情報公開を求めていきます。
*保留児童数に関するレポート
(横浜市「平成27年4月1日現在の保育所等利用待機児童数について」より)
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