介護保険のジレンマ解消へ〜川崎「健康福寿プロジェクト」
神奈川県内では、介護サービスによって日常生活動作の改善がみられた際にインセンティブを提供するという川崎市の取り組みが注目されています。福田市長の公約の一つ「健康福寿プロジェクト」として、すでに2014年度からモデル事業として展開されています。
22日、川崎市健康福祉局長寿社会部高齢者事業推進課を訪ね話を聞きました。
川崎市では、要介護度だけなくADL(日常生活動作)の改善も含めた評価手法が検討されています。プロジェクトの効果として、「介護給付費及び保険料上昇の抑制につながる。」ことも挙げられています
川崎市では、要介護度だけなくADL(日常生活動作)の改善も含めた評価手法が検討されています。プロジェクトの効果として、「介護給付費及び保険料上昇の抑制につながる。」ことも挙げられています
2014年(10月〜12月の3ヶ月間)は、市内の通所介護、通所リハビリテ ーションの利用者、特別養護老人ホームの入居者など30人を対象としてモデル事業を実施。その結果、要介護度の改善は認められなかったものの、「認定調査票」を用いてADLの状態を把握したところ、6割の人に改善がみられたそうです。2015年度は6月から12月の7ヶ月で、137事業所73人を対象にモデル事業を実施。現在、改善状況などの結果の集計中で、2月の検討委員会に提出予定とのことです。(2015年度予算900万円/地方創生交付金・先行活用)
2016年は、成果指標やどんなインセンティブを付与するのか、その範囲、程度についても議論したいとのこと。金銭の給付の他に、市のHPなどで協力事業所や成果を上げた事業者を積極的アピールすることを考えたいとのことでした。
川崎がリードし、九都県市首脳会議でも「持続可能 な介護保険制度検討会」での検討や国への要望活動が行われており、手応えも感じておられる様子。
高齢者人口や要介護認定者の増加によって膨らんでいく介護給付費。サービスを抑制したり、介護報酬を引き下げたりと給付を抑えるための対策がとられていますが、こういったネガティブな対策の評判は、あまりよろしくありません。質の高いサービスを評価するというプラスの発想で、給付が抑制されるというのであれば、それは望ましいことだと思います。しかし、本筋論としては、「施設職員の意欲向上を図るとともに、さらに質の高いサービス提供が継続して行われる」ために、まずは、介護労働を適正に評価し、基本報酬の底上げを行う必要があると思います。介護離職ゼロの前に、介護職の離職ゼロをめざすためにも。