動き始めた生活困窮者自立支援制度
一般社団法人インクルージョンネットよこはまの大船事務所の事務所開きに参加させて頂きました。インクルージョンネットは、昨年県の生活困窮者自立支援相談支援モデル事業を受託され、鎌倉でも出張相談窓口を開設されていた経緯もあり、4月からは鎌倉市の生活困窮者自立支援相談支援事業を受託されています。独自の取組みとして、子どもの学習支援や社会参加・就労体験事業にも取り組むそうです。
5月までに44人の方から相談があったそうですが、圧倒的に高齢者からの相談が多いとのこと。相談内容は①収入・生活費のこと(24)、②病気や健康、障がいのこと(21)、③仕事探し、就職について(14)といった順で寄せられています。
代表理事の鈴木晶子さんからは、就労支援だけでなく、見守り支援や地域密着の働き場のあり方など地域で暮らすことを大切にしながら事業を進めたいとのお話がありました。自治体としても、相談支援事業(必須事業)だけで困窮者のサポートを行うことは難しいし、任意事業とされている就労準備支援事業や家計相談事業、学習支援事業といった事業を有機的に実施する事が望ましいと思います。しかし、国庫補助率が低い任意事業については、自治体の負担も大きくなります。また、国がどこまでこの事業に本気で取り組むのか、はしごを外される事はないのかといったことも含めて様子見状態なのかもしれません。
おりしも昨日は、昨年銚子市で発生した県営住宅からの強制退去の日に母親が娘を絞殺した事件の地裁判決について報道されていました。事件を起こしてしまった母親は、医療費や生活保護制度について役所に相談していたといいます。なぜ生活に困窮する人たちの様々なサインをキャッチできなかったのか、なぜ役所の中で情報連携できなかったのか、悔やまれることが多い事件でした。
あらためて、新たにスタートした生活困窮者への支援事業が、必要な人に周知され包括的な支援が行われるよう、事業の実施状況や課題について今後も現場の声を拾っていきたいと思います。