処遇改善の効果を実感できる予算を確保すべき

  3年に1度見直される介護報酬について、2015度からは2・27%引き下げる方針が明らかになりました。社会保障費のうち介護関連予算はすでに10兆円規模で、今後10年で約20兆円超に膨らむと試算されており、政府は給付の抑制とともに報酬引き下げに舵を切りました。

青木マキとともに駅頭で「介護の社会化」についてお話しています。

 毎年4人に1人が現場を後にする離職率の高い介護の現場。介護職員の平均賃金は月額で全産業平均に比べて約十万円低く、慢性的な労働力の不足が続いています。高齢化の進展に伴って、今後10年でさらに100万人の介護労働力が必要となるとも推計されています。そこで、加算措置による待遇改善策も講じるとしています。しかし、報酬引き下げと処遇改善は両立するのでしょうか。厚生労働省の社会保障審議会分科会でも、同様の疑問が呈されていました。

 財務省は、介護事業者の収益率の高さや内部留保を問題視してきました。しかし、事業者職員が職場に定着し勤続年数を積み重ねれば人件費も増大していきます。施設修繕費積立てや2ヶ月遅れで入金される介護報酬を補う自己資金の必要性も考慮すると、一概に「利益を溜め込んでいる」とは言えないという現場の声もあります。
 2003年(△2.3%)、2006年(△2.4%)の介護報酬の引き下げは、慢性的な人手不足と多くの事業者撤退を招きました。いつか来た道…とならないよう、政府が言うような処遇改善の効果を実感できる予算を確保してもらいたいと思います。こんな大事なことが総選挙の争点とされなかったこと自体も問題とすべきです。現場からもっと声をあげなくては!と思っています。