「福島子ども・こらっせ神奈川」 学習会
2012年から福島県楢葉町の小・中学生を神奈川に迎えたリフレッシュプログラムを実施している「福島子ども・こらっせ神奈川 」主催の学習会が開催され、毎年、子どもたちをサポートしている学生ボランティアの皆さんから、被災地の現状について報告がありました。
楢葉町の人口は7600人、福島県浜通り、8町村からなる双葉郡(人口6万6400人)に属する町です。東日本大震災では、最大15メートルの津波で沿岸にあった50戸の家屋が流され、13人が命を奪われました。震災関連死は高齢者を中心に95人にのぼります。現在、町民は、福島県内に6300人(いわき市に5300人、会津地方に600人)が居住、県外では関東地方が1000人と大半をしめ、東京には200人、神奈川には90人が暮らしておられるそうです。福島第1原発から10〜20キロの範囲内にある楢葉町は、当初、警戒区域に指定され立ち入りが禁止されました。2012年8月、警戒区域から避難指示解除準備区域になり日中の立ち入りは可能になりましたが、今でも夜間はとどまることができません。3・11当日、下校前だった楢葉小学校の子どもたちはランドセルなどの私物をすべて学校に放置したまま避難し、地震の片付けもできないままに自宅を離れ、避難所で暮らすこととなり、私物を持ち出せたのは、小学生は2012年9月、中学生は2013年3月のことだったそうです。
2012年4月、銭田工業団地の空き工場に楢葉小・中学校の湯本仮校舎が開設され、いわき市全域に散らばって住んでいる楢葉の子どもたちはスクールバスで通学することになりました。同時に、町はいわき明星大学敷地の森林を切り開き、プレハブの中央台仮校舎の建設をスタートさせますが、楢葉小・中学校に通学する児童・生徒数は激減し、2013年度の楢葉中の全生徒数は63人、楢葉南・北小学校の全生徒数は88人、いずれも3・11以前の五分の一にとどまります。
楢葉町は福島県、復興庁とともに復興計画を策定しています。2015年3月までの完成をめざして楢葉中学校の新校舎の建設が進められている楢葉中学校の様子も伝えられました。
しかし、2014年1月に実施された全世帯(3700世帯)を対象にしたアンケート(回収率60%)では、帰還が決まれば「楢葉町にすぐ帰る」8%、「条件が整えば戻る」32.2%、「今は判断できない」34.7%、「楢葉町には戻らない」24.2%という結果でした。
帰還を望んでいる町民も病院や福祉サービス、インフラの整備、傷んだ家の修理やねずみやイノシシの害など心配はたえないそうです。コントロールできていない原発の安全性、除染の効果への疑問、放射線が子どもの健康に与える影響などを考え、子どもがいる親や若い世代からは帰還をあきらめたとの声も聞かれます。リフレッシュプログラムを通じてさまざまな事情を抱えた家族の状況も伝わってきました。
今年も8月にリフレッシュプログラムが実施されます。子どもたちに向き合うためにも、学習会は良い準備の機会となりました。福島県は、福島県の子どもたちを対象とする自然体験・交流活動支援事業を予算化(3億6千万円)しており、リフレッシュプログラムも新たな段階に進もうとしています。今後も、どのように楢葉町の子どもたちに寄り添っていくのか、活動を通じて多くの皆さんと実践し考えていきたいと思います。