児童相談所の機能強化と社会的養護の充実にむけて〜常任委員会視察報告〜

県民・企業の県内調査で厚木の児童相談所を視察しました。
昨年度の県域5カ所の児童相談所の相談件数は合計9,918件で、そのうち厚木児童相談所に寄せられたは相談件数は2,713件(27.4%)となっています。また、この間の虐待相談・通告受付件数は増加傾向にあり、厚木児童相談所の受付件数も2009年度の391件から2012年度は845件と倍増しており、圏域全体の受付件数2,282件の37%を占めています。

特に心理的虐待の増加が顕著で、これについては警察からのドメスティックバイオレンス(DV) に関する通告が多く寄せられ、家庭内での暴力的な環境が表面化している状況です。すでに、2004年児童虐待防止法が改正され「DVを目撃させることは心理虐待にあたる」との文言が追加されており、徐々に認知度が向上しているようです。

日々の業務に加えスキルアップのための研修の実施など職員の頑張り、多くのサポートに支えられている児童相談所の現場の状況も伺いましたが、専門性が必要とされる分野に一層手厚い人員配置が求められます。また、ハード面の課題として、居室面積が十分に確保できない、個室対応が難しく緊急的に静養室や相談室などを居室として活用せざるを得ないといった状況もありました。施設の狭あい化も課題です。

厚生労働省が先頃公表した「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告の概要)及び児童虐待相談対応件数等でも、2012年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数が66,807 件(速報値)となり過去最多となったことが報告されています。あらためて少子化の進行や家族の有り様が変化するなか、潜在的な社会的養護のニーズが増加していると認識しなければならないと思います。

市町村の子育て支援施策との連携や地域における社会的養護の担い手とのネットワーク化の推進も必要です。現在、進められている「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたっても、子ども・子育て家庭を社会全体で支援するという理念にそって、ニーズを把握し社会的養護の充実を進める方策が検討されるよう提案していきます。