現場と創る「これからの保育・子育て支援施策」〜一般質問報告〜

26日、本会議で、これからの保育・子育て支援施策について、県の取組みについて質問しました。

この間、50年に一度と言われた保育制度改革が論じられてきた背景には、まずは待機児童問題があり、さまざまな議論が続けられてきましたが、結局、保育所は「施設型保育給付」とし、従来通りの認可制を前提とした制度で運用されることになりました。一方で、小規模保育、居宅訪問型保育などを実施するための「地域型保育給付」が創設され、これまで認可外保育とされてきたサービスも国からの給付の対象となります。育児の負担感や養育の困難さから、就労してでも子どもを預けたい、また一時保育サービスが足りない等の様々な保育ニーズが認可保育所に集中してきましたが、新たに制度化される地域型保育給付が若い世代の多様な生き方・働き方を支えるしくみとなることが期待されます。

県としても、認可保育所の整備コストや運営費、将来的なニーズ変化を考えれば、認可保育所の量的拡大を図るだけでなく、市町村とともにグループ型家庭的保育など、待機児童解消先取りプロジェクトの強化事業に積極的に取組み、選択性の高い保育サービスを展開する視点が求められます。

県は、待機児童対策として、また、多様な保育ニーズの受け皿として認定保育施設制度を創設し県独自の基準に基づき市町村が認定した施設に対し、市町村とともに補助を行ってきた経緯がありますが、新制度の施行にあたって、認可外保育施設である認定保育施設の位置づけも大きく変化するものと思われます。

県下の認定保育施設の状況は様々であり、認可保育所への移行が比較的容易な施設ばかりではなく、認可保育所への移行に向け新たな整備が必要となる施設もあり、また、小規模保育制度へ移行することが望ましい施設もあると思われます。県としても、認定保育施設の運営状況や運営上の課題を把握し、市町村とともに円滑な移行に向けて取組む必要があると考えます。また、小規模保育など地域型保育給付の安定的な運営を保障し、地域の特性やニーズに応えるシステムとなるよう、国に対して提案していく事も必要であると考えます。

保健福祉局長からは、市町村に対しても、家庭的保育を含め多様な保育サービスが展開できるよう、働きかけていくことや、子ども・子育て支援の新たな制度に向け、改めて、市町村とともに、個々の施設に対し認可保育所への移行を促していくこと、その際、認可に必要な施設整備や保育人材の育成について、安心こども基金などを活用して、支援を行っていくとの答弁がありました。新たな制度で、市町村が認可し、国・県・市町村の負担による公的給付を行うこととなる小規模保育事業(定員20名未満の保育)の認可基準については、今後、国から基準設定の目安が示されることとなっていますが、県としても、認定保育施設が円滑に移行できるよう、国に要望していくとの答弁がありました。   

神奈川ネットのプロジェクトでも、あらためて県内の保育施設へのヒアリングをスタートさせていますが、26日には、保育所や認定保育施設を運営されている方たちも関心を持って傍聴にいらしてくださいました。また、翌27日には、ワーカーズコレクティブ連合会の保育グループの皆さんと意見交換もさせていただきましたが、やはり認定保育施設の今後のあり方について、不安や期待の声が聞かれます。10月17日には、県内の認定保育施設に対し次世代育成課による説明会も予定されているとのこと。今後も、市町村や現場との対話を重ね、より良い提案に繋げていかなければなりません。まず、当事者の声を反映させる仕組みをつくっていくことが必要であり、地方版の「子ども・子育て会議」の設置も引き続き提案していきます。神奈川には、多様な保育・子育て支援の取り組みがあり、この力を生かさないともったいないと思うのです。さらに、県と横浜、首都圏の自治体が連携できれば大きな発言力も持てるはずです。