新システムは、保育に欠ける子どもに留まらず、全ての子どもを社会全体で支援する、すなわち、子どもをとりまくあらゆる課題やニーズに対し、多様なサービスを選択できる環境を整えることをめざすものです。
野党や保育関連団体からは、総合こども園への批判や指定制、直接契約制度を懸念する意見が聞かれますが、保育の質は民間参入を制限することで担保されるものでもなく、また、認可保育所であれば良質で、認可外であれば問題があるというような一面的な視点からの論も成り立ちません。保育所の量的拡大を図りながら、保育の質を高めていくための具体的方策を示し、建設的な議論をすべきです。
たとえば、この数年間で大幅な待機児童解消を図った横浜市は、一定の基準を満たした認可外保育施設「横浜保育室」152施設に独自の助成を行っています。運営には、株式会社やNPO等が参入し、すでに、指定制・直接契約制度のモデルが展開されています。
新システムには、小規模保育や家庭的保育・派遣型保育など、地域の状況や多様なニーズに応える重要な施策も盛り込まれています。まずは、この新システムを進めた上で、課題を抽出し、必要であれば見直しを進めるための機関として「地方版子ども・子育て会議」を設置するなど、より積極的な市町村の取組みを求めていきます。何よりも、若い世代の貧困、子育ての孤立化、人口減少が加速する高齢社会の課題に目を向け、あらためて、未来を拓く制度改革を推進することを強く求めます。