5月14日、文部科学省は、学校給食費の滞納問題をめぐり、子ども手当の受給と給食費の引き落としを同一口座にするよう保護者に呼び掛けるべきだとし て、都道府県教育委員会などに通知しました。
横浜市教育委員会の対応を確認してみたところ、子ども手当の支給事務を所管するこども青少年局に、現在の徴収・会計処理方法を説明し、子ども手当と滞納給食費との相殺が困難であることを伝えたとのことでした。現在、横浜市会では、私たち無所属クラブが提案した学校給食費を公会計化する条例が継続審査となっており、教育委員会としても公会計化に向けた課題整理を行っているそうです。
公会計化することで、電算システムや管理コストがかかる、市の歳入未収金となるため未収金対応の検討が必要であるなどのデメリットもあげられています。一方で、メリットとしてあげられているように、公会計化することで、学校事務の軽減が図られることや、教員の立て替えや正しく支払っている児童からの補填がなくなり不公平感がなくなるわけです。そもそも、市の歳入未収金でないにもかかわらず、なぜ、学校給食費未納者に対して、市長名で督促を行ったのか、理解に苦しみますが。(これらの経緯は、過去のレポート「給食費は横浜市の私債権か」「学校給食にはこれだけの課題がある」をご参照ください)
条例案の審査の中で、教育委員会は、学校長が給食費を徴収し管理できる根拠として、昭和32年に福岡県の教育委員会教育長あての回答を提示することしかできませんでした。群馬県教育委員会は、すでに、2010年に県内自治体教育委員会に給食費の公会計化を求めていますが、その根拠とされたのは自治法210条です。横浜市教育委員会が数ヶ月を掛けて整理している公会計化の課題は、すでに明らかにされている課題でもあります。
今回文科省から出された、通知には法的な強制力はありません。あくまで保護者に「お願い」すべきという通知です。県内でも学校給食費を公会計化しているのは開成町くらいのようですし、文科省は、自治体における給食費の徴収方法や会計処理の課題を本当は把握しつつも、総理の「何か仕組みができないか考えたい」という突然の発言を受け、まずは対応を図ったというところではないかと推察します。