どの現場でも、行政サービスを補完することに留まらず、ニーズを捉え独自サービスが提供されています。また、コーディネート機能を発揮し、他事業とも連携がはかられ、福祉、環境、教育、文化と、さまざまなテーマがつながり始めています。これも地域を知るNPOの力です。さらに、これらの活動を社会化する運動にも積極的に取り組まれています。
この10年、介護保険や保育制度の規制緩和を始め、さまざまな協働型事業が推進され、地域福祉を実践するNPOが事業に参入する道が開かれてきました。しかし、本来自由度の高い活動を行って来たNPOが、既存の制度の中で制約を受け、事業運営に追われる中でミッションを見失ってしまうこともあります。税金による市民活動の支援と自立を両立させることも以外に難しく、行政との協働には限界があります。
市民セクターは、市民と市民の関係を豊かにしなければ拡がらないということを地域の活動が教えてくれたように思います。横浜市都市経営局も、この間のコミュニティ行政と協働を総括する中で、ようやく「NPOと行政の協働から市民同士の協働へ」という姿勢を打ち出しています。今後は、市民資本セクターの活動の領域を拡げるという段階から一歩進めて、NPOであれ、企業であれ提供されるサービスの質を保障する仕組みが用意されるべきだし、社会化されたサービスに正当な対価を求めていくべきだと思います。